第20話:空き屋の再利用計画

 そうして、サブプライムローン問題が世界中で表面化し、リスクオンのとなり

、遂に、2008年9月15日、リーマンショックで、アメリカの金融機関の

大型倒産が危惧された。この影響で村が用意した戸建て住宅を契約を解除したい

と言う人が20世帯も出てしまい、やむを得ず承諾するはめになり、2008年が、

初めて人口減少となってしまった。


 そこで、2009年からは、空いた戸建て住宅が18軒と、高齢世帯で、村を

抜けた空き屋など、誰も住んでいない家を所有者と相談して、少額で所有権を移動

してもらえる人を募集すると、ほぼ全ての家で承諾してくれた。その空き家が

31軒もあった。その空き家を改修できるかを調べて、村長が、個別に、改修費用

を加藤末吉に算出させた。すると100万円から2千万円まであり、

 総額で1億8千万円で、約工期は2年かかると言われたと明細資料を村議会に

提出した。


 その書類を村長が村議会にかけて検討した結果、修繕費用の少ない家から直し、

毎年、月5万円で、戸建て住宅を提供する条件で、募集をかけることになった。

 ただし、応募者については、必ず、面接して、不適格者は入村させないことを

決めた。2009年に空き家の修繕費用として1億円の予算を立てて、加藤末吉と

仲間達で、早速、修繕に取りかかった。


 2010年になり、インターネット広告で先着50家族、5人以上の家族に子供の

高校までの教育費、給食台、医療費を全額村が補助し、月5万円で4LDKの戸建て

住宅を貸すという広告を出した。2009年1月1日に広告を出すと、3月中に、

子供3人の家族が30組が決まり、子供が2人の家族が20組あり、合計50組が

決まり、役場で各家族と面接して不適格な家族が10家族いて、その後、再度募集

し、6月末には、全部の新入村者が確定した。


 一方、外貨投資の方では、急激な円高となり2008年に豪ドルが日本円に対

して急降下しはじめ、2009年1月に1豪ドル58円となり、5.8億円で

1千万豪ドルを購入した。


 2011年1月12日、寒い朝、加藤タネさんが、朝、加藤吉宗を起こそうと、

声をかけても反応がないのを不思議に思い、加藤末吉と里子さんを呼んだ、

末吉が父の脈をとると、脈がないと言うと、里子さんも脈を測るとないと確認

された。そして、加藤一郎、次郎、一美、夏子に死亡の連絡を入れると、30分程

で一郎が、1時間半くらいで、次郎が来た。一美と夏子は、遠いので、お通夜と葬式

の日程を教えてくれと言われた。


 その後、朝9時、家から一番近い、昔からお世話になっているS医院の斉藤先生

に電話を入れると、10時頃なら、往診にいけると言われて、お願いし、10時頃、

家に来られ死亡診断書を書いていただいた。その後、地元の山内寺に連絡し、葬儀社

と電話番号を教えてもらい、電話すると、今日午後、伺うと言われた。


 昼食後、地元の葬儀社の人が来て、車で30分くらいの所の葬儀場なら4日後の

午前10時なら空いてると聞いて、抑えてもらった。その後、葬式の形式を打ち合わ

せて、連絡先の住所、指名を教えてくれれば、葬儀の案内状を明日にでも印刷して

くると言ってくれたので、お願いした。そうして、30分位して、棺の入った大型

バンがきて、父の遺体を棺に安置してくれた。名簿を書いた、ファイルを葬儀社の

方にメールで送った。


 葬儀の形式が決まったので、担当者が明日、葬儀の案内書を持参し、また来ますと

言った。葬儀の日付は2011年1月16日と決まった。遠くから来る人の宿泊所も

できるのを確認した。その後、父、加藤吉宗・享年89歳の、この村への貢献の話

や加藤一族に対して厚意について、雑談した。そうして、みんなが、1月16日、

葬儀場で会おうと言って、帰っていった。母のタネさんは、茫然自失で、時折、

涙を見せていた。

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