第18話:サブプライム問題とリーマンショック
2007年のアメリカ合衆国の住宅バブル崩壊をきっかけとしてサブプライム
住宅ローン危機を始め、プライムローン、オークション・レート証券、カード
ローン関連債券など多分野にわたる資産価格の暴落が起こっていた。2007年
からの住宅市場の大幅な悪化と伴に、危機的状態となっていたファニー・メイ
やフレディ・マックなどの連邦住宅抵当公庫へは、政府支援機関における
買取単価上限額の引上げや、投資上限額の撤廃など様々な手を尽くしていた
ものの、サブプライムローンなどの延滞率は更に上昇し、住宅差押え件数も
増加を続けていた。
歯止めが効かないことを受け、2008年9月8日、アメリカ合衆国財務省
が追加で約3兆ドルをつぎ込む救済政策が決定。「大き過ぎて潰せない」の
最初の事例となる。リーマン・ブラザーズも例外ではなく、多大な損失を
抱えており、2008年9月15日に、リーマン・ブラザーズは連邦倒産法
第11章の適用を連邦裁判所に申請。この申請により、同社が発行している
社債や投信を保有している企業への影響、取引先への波及と連鎖などの恐れ、
及び、それに対するアメリカ合衆国議会・アメリカ合衆国連邦政府の対策の
遅れから、アメリカ合衆国の経済に対する不安が広がり、世界的な金融危機
へと連鎖した。2008年10月3日には、アメリカ合衆国大統領ジョージ・
・ブッシュが、金融システムに7千億ドルの金銭支援を行う緊急経済安定化
法案に署名した。
日経平均株価も大暴落を起こし、9月12日の終値は12214円だったが、
10月28日には一時は7千円割れの6997円まで下落し、1982年10月
以来26年ぶりの安値を記録した。
リーマン・ブラザーズは、負債総額約6千億ドル・約64兆円という
アメリカ合衆国の歴史上、最大の企業倒産で、世界連鎖的な信用収縮に
よる金融危機を招いた。リーマン・ブラザーズは、破綻の前日までアメリカ
合衆国財務省や連邦準備制度理事会・FRBの仲介の下でHSBCホール
ディングスや韓国産業銀行など、複数の金融機関と売却の交渉を行っていた。
日本のメガバンク数行も参加したが、後の報道であまりに巨額で不透明な
損失が見込まれるため、買収を見送ったと言われている。最終的に残ったのは
バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチ、バークレイズであったが、
アメリカ合衆国連邦政府が公的資金の注入を拒否していたことから交渉不調に
終わった。
しかし交渉以前に、損失拡大に苦しむメリルリンチはバンク・オブ・アメリカ
への買収打診が内々に決定され、バークレイズも巨額の損失を抱え、
すでにリーマン・ブラザーズを買収する余力などどこにも存在していなかった。
日本は長引く不景気から、サブプライムローン関連債権などにはあまり手を
出していなかったため、金融会社では大和生命保険が倒産したり農林中央金庫
が大幅な評価損を被ったものの、直接的な影響は当初は軽微であった。
しかし、リーマン・ショックを境に世界的な経済の冷え込みから消費の落ち込み
、金融不安で各種通貨から急速なアメリカ合衆国ドルの下落が進み、アメリカ
合衆国の経済への依存が強い輸出産業から大きなダメージが広がり、結果的に
日本経済の大幅な景気後退へも繋がっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます