第9話:長男、加藤一郎が新村長

 そこで、加藤吉宗が、加藤一郎の奥さんの峰子さんに、電話を代わり、

今迄の流れと、現状、加藤一郎は、頭も良いし、財務の知識も豊富で、村長に

最適だと訴え、通いで構わないから村長を引き受けて欲しいと、懇願すると、

わかりました反対しているのは、私1人の様なので、仕方ありません。

主人に変わりますと言い、一郎が、これで、村長を引き受ける事にしますと言って

くれた。この話を聞いて、ほっとしたのと、山田村長の別れの時の冷静な顔が

ダブって、「ありがとう、本当にありがとう、これで助かると、涙声になった」。


 それを聞いて、電話口の一郎が、俺も、田舎が嫌いで、故郷を出たんだが、

結婚し、家庭と子を持ち、自分が人のために生きているのを実感した。

「ごめんな、不義理して、これから、両親に恩返しするために、一生懸命に

村長を務める」と、涙声で話してくれ、一件落着した。


 その後、冬のボーナスをもらい、1981年12月5日付けで加藤一郎

が東京の銀行を退職すると言った。実際には、約1ケ月の有給休暇が残って

いるので、12月5日以降なら、村長を引き受けると約束してくれた。

 その後、加藤吉宗が長男の加藤一郎が村長を引き受けてくれたことを、

村の5人の長老に話すと喜んでくれたが、正式に村長選挙をするべきだと

言われ、村役場に話すと、正式に元村長の病気療養で空席になったので、

選挙しなければなるまいとの意見が多く、選挙を候補者の締め切り日を

1981年12月5日、選挙日を12月19日、日曜にするという案内

を1981年10月中に各家庭に連絡して回った。


 やがて12月5日になったが村長への立候補者が現れずに、選挙なしで

加藤一郎がこの村の村長に決まった。村長に決まった翌日1981年12月6日

に、加藤一郎38歳が村役場に出勤して、職員を前に、今後の方針を述べた。

1番目に、過疎化対策として、東京、橫浜から近いことを利用して、観光施設を

維持して、手軽な観光地、温泉地、避暑地として観光客を誘致してい行く事。

2番目として村の財政をしっかりと維持し、暮らしやすい村づくり、村営バスの

維持など村民に対して一定のサービスを維持していくために万全をつくす。

 3番目として、若い人を村に呼び込むためのサービスを継続していき、過疎化

を防ぐ。この3点を公約として訴えた。


 説明会を終え、重野副村長と会い、前の山田賢一村長と2人で、交代で村長職

を勤め、空いてる者が、NM証券の口座を使い、株投資することになっていると

話すと、今後のこの村の過疎化対策の費用づくりだと説明すると、加藤一郎村長

も仕方ないかも知れないと理解した。


 その後、加藤は、村長室に入り、村の今迄の会計帳簿をみた。数日後、加藤一郎

村長から父の加藤吉宗に電話が入り、村長室に呼ばれると、前村長の山中家と

加藤吉宗、タネ、末吉の加藤家の口座から3億円ずつ村の会計に入金されて

いるが、これは何かと聞かれて、これは、前の山田村長が、今後の村の過疎化対策

として、投資させて欲しいと言われ、3億円ずつを投資したと答えた。


 これは、帳簿上まずいと言われた。役場は、村の税金や、村営の施設の利益

を帳簿の載せるだけで、株式会社でないから、投資を受けることが出来ないと

言った。何とかならないかと、逆に、加藤吉宗が聞くと、せいぜい借入金として

書くしかないが、何のために借入金が必要なのか、目的を書かないとまずいと

説明した。役場の修繕費用とでもしておきましょうかと言われ、加藤吉宗が、

うまくやってと言うので、わかったと了解してくれた。


 最近、観光の収入はどうかと聞かれて、損はしてないが、観光客の減少と

共に、利益は減っていて、これと言った、収入源は、数カ所ある、観光客用の

宿泊施設と川の近くのバンガロー、3ケ所の村営温泉施設かなと言った。

 景気が良いから村の会計の余剰金を利用して、投資でもやって増やしても

良いが、成功したら良いが、失敗したら、損金は補填しなくてはならないと

言った。加藤吉宗が、観光客の減少と共に、利益が出なくなる可能性があるから

、確実に稼げるものを持っていたいと言った。やがて1982年となり、

加藤村長と重村副村長で1982年1月にソニー株を1300円で4万株

5200万円とトヨタ株555円で8万株4440万円で購入した。

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