第56話(こうして結末へ)
スコップを振るうと同時に、その白い閃光が甲高い音を立てて空高く飛び上がった。
「そ、そんなバカな……私の渾身の一撃が……」
遥か上空の蒼天に突き刺すように飛んでいった光は途中で爆発するように光った。
そして後にはただただどこまでも青い蒼天がいつもと変わらずにあるのみ。
「く、くそっ、この……化け物が」
「……あの、一つ聞いていいですか?」
僕はここで微笑み聞くと、彼は怯えたように、
「な、何だ?」
「今、何をしようとしていたんですか?」
そういえば何かをしようとしていたのだけれど、彼が一体何をしようとしていたのかが分からない。
説明もしてくれていなかった気がする。
なので僕は聞いたのだけれどそこで、ボスである彼は唖然とした顔をして僕を見てから、憤怒の表情にすぐに変わり、
「お前の、お前達のせいで、この都市の四分の一は確実に消し飛ぶような攻撃が……」
「そうなんですか、どうにかなって良かったです。というわけで、ていや」
知りたかったことは知ったので、これは用済みだなと僕はスコップで殴った。
無力なこのボスらしい彼はきっと次に目がさめる頃には、善良な一般市民になっていることだろう。
そこで魔女エーデルが近づいてきて嘆息する。
「これだからアルバ村の住人て嫌なのよね。情緒も何もなく、あっさり事態を収束させるんですもの」
「誰も被害者はいませんよ? 幸運なことに、リンの本体は帽子らしいですし」
リンは歩かなくて楽だわ、それに、あとで新しい体をかってね~と僕にいっている。
どうやら新しい体を賞金で買って欲しいらしい。
それを見てから魔女エーデルは微笑み、
「ええ、素晴らしい事だわ。昔から、そういう所だけは無茶苦茶だけど気に入っているの」
この魔女エーデルにしては珍しい称賛に僕は目を瞬かせて微笑んだ。
それから凍りついているように動けなくなっていた彼らの仲間、つまり残党の残党がりを行ったのだった。
すべてが終わったのだけれど、一つ問題が残っていた。
魔女エーデルが深々とため息をつく。
「また材料集めからだわ、はあ」
「あの、実は以前掘り当てたこんなものが……」
恐る恐る僕は、以前、アオイにただの硝子の立方体だと断定されたアレを取り出して魔女エーデルに見せる。
しばしの沈黙後、魔女エーデルはそれをとり上げてまじまじと見て、
「これ、何処で手に入れたの?」
「以前、地面を掘ったら出てきました」
その答えに魔女エーデルは沈黙してから、
「あのババア、絶対に知って……ぎゃああ」
空から再びコピー本の魔導書が落ちてきて魔女エーデルの頭に当たり、魔女エーデルは悲鳴を上げる。
だがこれを使うことで、お姫様の呪いは解けるらしい。
初めから言いなさいよと魔女エーデルは怒っていたが、そんな事を言われてもこれがそんな重要なものだとは思わなかったんだと告げる。
そしてそれを使い、いくらか調整をしてその場でお姫様の呪いを解いたのだけれど、アオイと、とりあえず近くで購入したマネキンで復活したリンにみてもらうと、
「私にはイケメンに見える」
「私は相変わらず美人なお嬢さんにみえるかな」
そう答える二人。
ユナも同様にイケメンに見えるらしい。
そこでようやく目を覚ましたミナトが目を大きく見開いて、凄い美女だと告げた。
そこで姫の呪いが上手く溶けたことが判明した僕達は、ミナトにあの後の状況を説明したら、逆にミナトはリンの正体に気づいていたことを知る。
ミナト本人曰く、自分は天才だからだそうだ。
また、リンがなぜ帽子が本体なのかというと、異世界のニホンという国から、何かの事故で一時的に意識不明の状態になっているので、暇を持て余していた女神様に誘われてこの世界で遊んでいるらしい。
なので変わった料理も知っていたのだそうだ。
そういった話をしたり、最後は賞金をもらって山分けをしてそして、
「じゃあ、次に会う時は高校で」
魔女エーデルやヒナタ姫達とは機会があればまた会いましょうと約束したし、次に他の人達と会うのは高校だ。
そんなこんなでもとの村にユナと戻る僕達だけれど、すべてが終わったけれど、どことなく僕は寂しさを覚えたのだった。
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