第38話(彼女、襲来!)
そんなこんなで大きなお肉を僕達は食べて満足した。
エーデルはおいかにもお肉の塊、といったものを結局一人で食べ上げてしまった。
僕はひょっとして小食なのだろうか?
そんな疑問を僕は覚えたけれど、とりあえずは今のサイズで僕はお腹がいっぱいになったのでこれでよかったのだと僕は思う。
そして大きなお肉を食べて魔女エーデルは、
「胸に脂肪が行くから大丈夫よ! ……さて、ちょっと走ってくるわ」
そう言ってお店を出てから、何処かへと走り去っていった。
これからお肉を食べた文のカロリーを減らすために頑張るのかもしれない。
そういえば魔女エーデルはとても胸が大きく、歩くたびにぽよんぽよんいっていた気がする。
「ユナにもお肉を食べるようにいった方が良いかな?」
貧乳な事を気にしていた幼馴染の少女を僕は思いだした。
そろそろ風邪から復活しているかもしれない幼馴染のユナ。
そういえば以前、ユナは男らしいから大丈夫だと言ったら殴られたのは、不条理な思い出である。
そんな事を思い出しながら、そろそろ熱が収まったかな、それともまだ風邪なら都市のお土産は喜ばれるだろうか? と僕は思いながら宿に戻る。
するとまた賞金を持ってきてもらえて、また見つけたらよろしくと言われてしまった。
そんな偶然が何度もある様に、なぜみんな言うのだろうと僕は思う。
たまたま数回遭遇しただけだというのに。
それに、普通に材料を見つけて戻ってこれた方が良いのにと僕は思いつつ、
「流石にそんなに何度も遭遇しないと思うのですが」
「出会ったらよろしく」
何だか軽いな~、と思いながら賞金を受け取り僕は、とりあえず見かけたら倒しますと頷いたのだった。
次の日はいつもの場所にやってくると魔女エーデルしかいなかった。
今日はちょっと早めに来たので一番最後にならずに済んだ。
これぐらいの時間に来るのがいいのかもしれない。
そして少し待つと全員そろったので、今日の行き先を聞くと魔女エーデルが、
「“ミタタ滝”の方にある山に転がっている石で、“プロテアメルト”という青い石があるの。それが必要よ」
との事だった。
因みに都市から一時間くらい歩いた場所にあるらしい。
なので、てくてく歩きつつ、いつものようにスライムなどの魔物を打ち倒したりしてそこそこ倒しつつ歩く事、三十分。
それは唐突に現れた。
「は! 何だか凄く嫌な予感がする」
僕はそう呟いて周りを見回した。
それは本能的な予感に過ぎなかった。
誰かがこちらを見ている、それも標的として僕を!
だから僕は警戒して周りを見まわした。
先ほど魔物を倒したばかりなので、魔物はいないがそこで、遠くから風を切る音が聞こえて、同時に大きな砂埃が高く舞い上がり、その人物がすぐに視覚の中に入る。
彼女の瞳がまっすぐに僕を捕らえた。
「ユゥゥゥゥトォォォォォ!」
怒りに満ちたその声に僕は、何故と思う。
昔からそうなのだ、僕は何もしてないし何も悪くないのに彼女は怒るのだ!
そして今もそうで、僕はそれに恐れ戦きながら、
「ま、待て、話せば分かる!」
「問答無用!」
僕は彼女の蹴りを避ける事が出来なかった。
けれどそれだけでは済まなかったのだ。
「よくも私を置いていったわね!」
「だ、だってユナは風邪をひいていて……」
「言い訳するんじゃないわよ! しかもこんなに女の子ばかり……」
ミナトが、俺は男ですと言っていたが、ユナは聞く耳を持たない。
更にひたすら怒り続ける彼女。
どうやら女の子達と一緒にいるのがいけないらしい。
「で、でも僕が都市に向かったのは……」
「何かでっかい事をしたいなんて子供みたいな事を言って! だいたいユウトは……」
くどくどとお説教をユナがはじめてしまう。
こうなってしまうと、何時も黙って聞くしかなくなるのだ。
もうどうしたらいいのか分からずに同性のミナトに助けを求めるように視線を送ると、彼は頷き、
「大丈夫だ! そうこの女性達は……俺のハーレムだから!」
と言い切った。
しばしの沈黙後、ミナトが冷たい目で彼女達に睨まれて、お姫様以外の全員にぼこぼこにされてしまったのでした。
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