人殺しのヤカタ

真城夢歌

 六月中旬。

 俺は購買で買った焼きそばパンを片手に自分の教室へと戻った。

 教室では、仲良しのグループが塊になりながらそれぞれ昼食をとっていた。

 ただ、俺らのところだけ十一人となかなかな人数で集まって昼食をとっていた。

 みんなが明るく面白いメンバーばかりだったから、俺はこの時間を楽しみに学校に通っていた。

 話す内容は恋バナとか馬鹿な奴がとった面白おかしい馬鹿話だったりテストの話だったりいつも話すことは違ってたが大体このような内容だった。

 立った時に目に入った。今日転校してきたばかりの奴が一番後ろの隅で一人でクリームパンを食べているのが。

 そいつのほうへ寄ると「一緒に食べようぜ。」と言って誘った。

 「でも。」という声を無視して机を無理やり持っていき輪の中に入れた。

 全員で改めて自己紹介した。

 あいつー寺内そらーはおとなしいと思っていたが、意外と明るくフレンドリーで俺らともすぐ仲良くなった。

 いままで十一人だったのが、十二人で行動するようになった。

 メールアドレスを交換し、遊ぶ約束をしたりどこかに出かけたりしてそらとはすっかり友達になっていた。

 

 ある八月の昼のことだった。

 一人の女子が俺らのグループメールに一つの記事を送信した。

 内容は、とある大きな館に肝試しに行った人たちが次々消えているといったものだった。

 『解体工事をしようとした業者さんも死んじゃっているらしいよ。怖いよね。』

とメッセージを付け加えた。

 みんな次々と『これ近くのショッピングモールのそばにあるところだよね?』『怖いな』とメッセージを送信していた。

 俺は正直オカルト系は一切信じていないため『あるわけないじゃんw』と送信した。

 それでもみんなでもでもというのでみんなで検証しに行くことになった。

 メンバーはいつもの十二人。

 これが間違いだったとも知らずに館に足を踏み入れてしまうのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人殺しのヤカタ 真城夢歌 @kaguya_hina

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ