第32話 セーフティルーム

3人とも、今のメインクラスは、低レベルの方のクラスだ。

サブクラスに強いクラスをセットする事にしたらしい。

高レベルをメインにすると、ステータスは跳ね上がるが、それだとつまらない。

低レベルのクラスを育てる必要もあるし。


「ダイヤモンド2個、幸先良いな」


俺がそう言うと、


「低レベルダンジョンとは思えないな。素晴らしい。先輩どうぞ」


茜が言う。

多分、みんな装備揃ってるんだろうな。


「先に進みましょう」


紫苑が促す。


4階層。


ガギッ


俺のクリティカルがアイアンゴーレムに撃ち込まれ、バランスを崩す。


コウッ


敵のスケルトンウィザードの魔法が発動、俺は炎に包まれ──熱い?!

このゲーム、前から突っ込みたかったんだが・・・痛覚やら毒に熱・・・リアルに感じるの勘弁して欲しい。

落下した時にリアルに意識持っていかれたり。


ボウ


紫苑の回復が飛び、傷が癒えていく。

気持ち良い。


ガシャ・・・


俺の脇を抜け、アーマードワームが走る。


ジャジャジャジャ


茜の連撃が、アーマードワームを足留め。


ガンッ


俺がタワーシールドを構えて、アーマードワームの進路に飛び込む。


ぶしゃあ


溶解液をまともに浴びる。


臭いし痛い?!


ボウ


回復魔法が飛ぶ。


ひょっとして、ファイターって痛い・・・?


「ヴォルト!」


宿名の魔法が、アーマードワームを焼き尽くす・・・


数分の戦闘の後、何とか敵を撃退した。


「・・・4階層でレベルが35・・・上がり過ぎだな」


宿名がため息をつく。


「先輩、大丈夫か・・・?」


「臭いし、痛いし、熱い」


茜の問いに、俺が死にそうな声で答える。


「回復は間に合わせてるんだから、感謝して欲しいですわ」


紫苑が胸を張って言う。


「ああ、ありがとう。助かってるよ」


紫苑の回復は早く、安心できる。

痛いし、苦しいけど。

痛覚オフ設定とか無いのか?


「先輩、痛覚は設定で──」


「お、オフにできるんだな?」


「通常、2倍、4倍を選べるよ」


「作った奴呼んで来い、殴らせろ」


需要あるのか、その設定。

あったらあったで怖い。


「回避型であれば、本人は痛く無いがな。その場合、後衛も全員、回避する必要がある。やはり、防御型が1番安定するな」


宿名が言う。

確かに、安定性で言えば、防御型なんだろうな。


慎重に進み・・・噴水のある部屋に着く。


「セーフティルームだな。休憩したり、ログアウトをするにはお勧めの場所だ。敵から逃げるのにも重宝する」


宿名の解説。

ほほう。


「丁度良いので、休憩しよう。先輩もエアが減ってるだろうし」


茜が言う。


「エアは、ログアウトしていれば、拠点じゃなくても回復するのか?」


俺が問うと、


「ああ、するぞ。ついでに言えば、魔力や体力も回復する。紫苑は特例として、普通はプリーストはこういった機会を活用して魔力を回復するんだ」


宿名が答える。

なるほど。


まあ、そろそろ時間を見ないと大変な事になるしな。


・・・結局、ログアウトしたら1時を過ぎてて、面倒な事になった。

もう泊まり込んだ方が良いんじゃね?

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