第3話 めいあん
俺は、後輩──
視線が合うと、笑みを返してくる。
俺は、自分で言うのもなんだが、悪くない顔立ちをしていると思う。
勉学は優秀──編入試験では満点をとった。
運動もできる。
編入試験で運動テストもあったのだが・・・それも記録的な成績だった。
俺目的の女学生が入っても不思議は無いのだが・・・
それも入らないのは、恐らく初日からずっと横に張り付いているこいつのせいだ。
横に座って腕に抱きつき、大きなナニカを押しつけていては・・・彼女にしか見えない。
茜はぷくーっと頬を膨らますと、
「せ~んぱ~い。超絶可愛い後輩に懐かれてるんだから、もう少し良い反応返して下さいよぅ~」
「そうは言ってもな・・・」
俺が手放しに喜べない理由・・・
何となく分かってしまったのだが・・・こいつには、裏表がある。
俺に好意を向けているのは、恐らく本心ではない。
無論、悪意が有る訳でもないと思うが。
全ての行為が、仮面に隠れている気がする。
だから・・・素直に喜べないのだ。
俺の転校生という属性、鳴り物入りの入学・・・そういった存在を彼氏にする事で、自分自身の安全を図る・・・恐らく、本人もモテている筈だ、その煩わしさから逃れる為、だと思う。
俺を利用する・・・それはそれで構わないのだが。
やはり、本心が見えてこない、というのは、寂しいのだ。
「ぶかつなんて作るのやめて、私と良い事しましょうよ~?」
ぎゅう
茜が更に強く抱きついてくる。
「・・・またお前はそう言う・・・」
耐える。
大丈夫、耐えられる。
初日は大分狼狽えたけど、大分慣れた。
「・・・こうやっておっぱいを思いっきり押しつけられてもそんな平気な顔をして・・・でも、ちゃっかり、夜は私で処理してるんっすよねぇ?先輩の脳内でどんな事をさせられているのか・・・」
「あのなあ・・・」
失敬な。
昨日は我慢した。
俺は、DDSをする為に転校したのだ。
それを達成する為には、俺は何でもする。
茜は溜息をつくと、
「せんぱ~い。こんなに超絶美少女の女子から好きって言われているのに・・・何で彼女にしてくれないんですかぁ?色々と良い事しましょうよぅ?お望みならどんなプレイでも応えますよ?」
茜が上目遣いで俺を見てくる。
くりくりした大きな目・・・吸い込まれそうだ。
・・・はっ。
「・・・分かった、付き合っても良いが・・・代わりにだんじょんぶに入ってくれ」
うるうるしていた目が、半眼になる。
「せんぱい・・・女の子の一大決心の告白・・・付き合うって凄く勇気が要る・・・大切な事なのに・・・ゲームをする部活に入るって交換条件に付き合うとか、ちょっと酷いんっすけど・・・流石に引きますわ」
引かれた。
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