紙とペンと紙ヒコーキ
とべないうーいー
第1話
拝啓
拝啓だなんて、そんなかしこまったこと書くの初めてやから少し緊張します。
なんで手紙?って多分つっこまれそうやなぁ
私も手紙書くの初めてやし、なかなか上手く文章に出来るか分からんけど、温かい目で読んでくれたら嬉しいです。
まず何から書こうかなぁ
思い出とか書こうって決めてから結構悩みました。
だって色々思い出があるもん
初めてディズニーランド行った事
2人ともディズニーに行くん初めてやったやん?
奈緒がさ、せっかくやから高校の制服で行きたいってわがまま言い出してさ、最初は恥ずかしいから嫌やって言われちゃって…
ユニバは私服で行ったやん、ディズニーはなんで制服なんよって
そう言われた時、奈緒もムキになってしもうてさ、もう知らんって怒りだしちゃって
奈緒が拗ねたの見て、やれやれって感じで制服着てくれたこと覚えてる?
最初は嫌々着てくれたけどさ、周りの人ほとんど制服着ててさ、
みんな着てるやんって2人ともつっこんで、笑っちゃってさ。
制服着てきて良かったなぁって言ってくれたのすごく嬉しいかったんよ?
あの時は言えなかったけど、奈緒が拗ねちゃってごめんね
ワガママに付き合ってくれてありがとう
あ、せっかく制服の話したし、高校の思い出も書こうかな
今思えば高校での思い出が1番多い気がします。
2人で色々回った文化祭
クラスのみんなに茶化されちゃってさ、手繋いで歩けよーって
奈緒は恥ずかしいわって照れてたらさ、いきなり手繋いできたやんか
ヒューヒュー よっ男前!
周りが騒ぎ立てるからめちゃくちゃ恥ずかしくなってやめてよーってなってたらさ、
行こっかって
周りを気にせず、グイグイ進んでくれたその背中を見てると優しいなって、カッコいいなって
まぁ、カッコいいと思ったんはその時だけやで?
授業中もよく寝てたよね
先生に当てらてもさ、寝ぼけてるからめちゃくちゃな答え言ってクラスのみんな大爆笑する事よくあったよね。
一緒に食堂行ってご飯食べた事
いつでもご飯を美味しそうに食べる姿を見て、奈緒が作る料理も美味しいそうに食べてくれるかなって勝手に思ったり
帰り道の海岸で2人で花火もやったよね
男の子のくせに、線香花火が1番好きなんやって言って
ロケット花火とか一切火をつけずに、ずーっと線香花火ばっかやってさ
派手じゃないけど、それでも綺麗だわ
真剣な顔でそんな事言うからなんか可笑しくて
線香花火なんて地味やと思ってたけど
2人の呼吸が聞こえるくらいに近づける線香花火も良いなってあの時思ったよ。
ちょっと長くなりすぎたかな?
文字読むの苦手やったから長くなりすぎたら読んでもらえんかも知れないし、思い出を書くのこれくらいにしときます
ところで今日、なんで手紙を書いたかまだ書いてなかったね
今日、卒業式なの
美味しそう食べる姿を見た食堂も、手を繋いで歩いた廊下も、寝てる背中を見つめてたあの教室も、夕陽が沈むまで一緒にいた海岸も
場所から、制服から、時間から、思い出から
もう二度とない時間だったと思うともっとああしとけば良かったとか
なんでもっと素直に気持ちを伝えんかったんやろって
ダメだよね、ネガティブな所が奈緒の悪いと所やでってまた言われちゃいそうだね。
でもこの想いを伝えたくて
届くように、言葉じゃなくて文字を選びました。
これならきっと空の上の貴方にも届くかなって思って。
伝わるといいな、この想い
もっと言葉にして伝えたらよかったね
ずっと、ずっと、ずっと
大好きでした
————————————————————
この文字が届くようにと手紙を空に飛べる形に折った。
桜の花びらと共に旅立つ想いは空に高く高く真っ直ぐに飛び立ったのだった
紙とペンと紙ヒコーキ とべないうーいー @SCANDAL
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます