雨降る街は死ねない街
日傘 つかさ
雨の街と約束 編
第0話 約束
「おいクソガキ、頼みがあるんだ。」
獣の頭部を被る者が言った。
いつもそう呼ばれる少年が振り返る。
木々が生い茂る森。山の奥で、2人は対峙した。
「それが物を頼む態度かよ...」
少年は言葉を濁したが、獣の頭の者は気にも止めず続けた。
「会いたい
「…」
頭を下げて、赦しを乞う。
獣の垂れ下がった耳が、ぶら下がる。
滅多にしないような行動に、少年は驚いて詰め寄った。
裸足のまま、入り組んだ木の根を踏み分け、彼に近寄る。
垂れた頭を下から覗き、少年は口を開いた。
「いいよ。その代わり僕の願いも聞いて。」
「お前の?」
謙遜の色もなく顔を上げる。
それに不満そうにため息を吐いて立ち上がり、一歩下がる。
「雨の街でしか、できないことなんだ。」
深い深い森の奥。高い高い山の頂。
大樹が根を張った大きな森。
そこには、獣の神が住まうという。
確立した国と社会が成り立ったこの世界。
それでも神話が身近に迫った世界。
ここで、新たな物語が紡がれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます