第222話 増援 巨大猫

 皆が寝静まった深夜、カリカリと聞き覚えのある音が響いた、思わず飛び起きて窓を開ける。

「お久しぶりです、こっちに来たんですね?」

 月明かりの下、とても見慣れた巨大猫、ぬーさんが窓の外に居た。本来の拠点である御家に置いて来たと言うか、基本的に子供達と一緒に居るので子守りを任せているだけの放置プレイなのだが。

「ごろごろ」

 頷く様にして喉を鳴らす、思わず手を伸ばして喉の辺りを撫でる。

 もふもふだ、いやあ、良いですよねえ、ぬーさん、いくら触っても逃げませんもん。

 今回臨時雇いで連れて来た仔猫達は撫でようとすると逃げるのでモフモフ欲求が中々果たされずにフラストレーションが溜まって居たのだ。

「あの子達にでも、様子見て来いって泣き着かれましたか?」

 多分、クリスさん辺りが泣いたのを子供達のヒカリとイリス、アリス辺りに見られて余計な心配をかけた類だろうか?

 因みに私達の義弟枠であるウルザは微妙に立場がアレなので、和尚さんが倒れても泣く事は無いと思うので除外だ。

「ごろごろ」

 ぬーさんは「そう言う事だ」と言うように喉を鳴らしながら頷きつつ目を細める。

「泣く子には勝てませんもんね?」

「なぁお」

 そうそうと言った感じに頷く。少し困った顔をしているのが解るので、噴き出しそうになる。

「相変わらず不思議と話通じますね?」

 エリスちゃんも起きて来た様だ。この部屋には私、灯とエリスちゃんが泊まって居る、アカデさんは薬の培養実験をしたいので一部屋確保して居て、何だかんだでクリスさんが家と同じようにくっ付いて居る、凸凹コンビだが、何だかんだであの二人は仲良くやって居る。

「大丈夫ですよ、あの人はちゃんと連れて帰ります・・・から?」

 それこそ、何が何でも、EXフル活用して心臓マッサージでもペースメーカーでも、義肢だろうが何でもだ、ロボット三原則を盾にすれば何だかんだで言う事を聞いてくれるので、こう言った命懸けの段階ではフル活用できるのだ。

 同様にロボット三原則で人同士のアレコレには干渉できないと言う事で、置物に早変わりしたりするのだが、まあ其処はしょうがない。

 微妙にEXに頼りきりなのがアレだが、まあ適材適所と言う事で。

「?」

 話して居る途中、ぬーさんが何か嫌な気配を感じたのか耳をピクリと動かし明後日の方向を睨みつけた。

「ウー」

 小さく唸り声を上げ、暗闇に向けて音も無く走り去った。

 べちんと、何かが猫パンチで沈んだ音が響いた。同時に「ぐぇ」と言う様な人間らしい呻き声が聞こえた。

「敵襲ですね」

 エリスちゃんと顔を見合わせて頷く。

 軽く着込み、武器を持って外に飛び出した。

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