第150話 リハビリの経過と歓迎

 色々とリハビリを終えるまで、つまり本調子に成るまで暫くかかってしまった。

 和尚さん達は、時々顔を出して体の調整をしていってくれた、其の度に体の痛む場所が移動して行く、何故そんな場所が痛むのだろう?

「流石、回復が早い、若いだけ有るな。」

 そんな事を言われた、むしろこのマッサージと針と言う物の方が凄いのでは?

 身体が動かなくなった者が、まともに回復したと言う話は余り聞かない、古傷や、動かなくなった手足は魔法であっても治る事は無いのだ。

「多分、魔法も身体も怪我した状態を正常と認識してしまうって事?こっちは自分の医療知識通りに元の形に戻してるだけ、人の骨格は個人差はあっても大体同じ形してるから。」

 そんな事を言われた。良く分からないが、動かない手足が動くように成ったので、有難い。

「回復させてる訳じゃ無く、元の形にはめ直してるだけ、後は本人の身体次第。」

 そう言われた、

「痩せ過ぎ何で、たっぷり食べてしっかり寝て置いて下さい。」

 灯さんとエリスさんに、スープと御飯を山もりよそわれた、いつの間にか自分で食べられるようになった、初めて会った時とは大違いだ。

「所で、毎回全部脱がなくても良いのだけど・・・」

 何時もの様に、服を全部脱いでマッサージしてもらった時に、そんな事を言われた。

「最初に全部見られてますし、今更恥かしく無いです、貴方の手が暖かいので、この恰好の方がいっぱい触ってもらえそうなので、」

 そう言うと、困り気味に笑われた。

 当然、誰にでも見せたい訳じゃ無いし、恥ずかしくない訳でも無い。

「もう落ちてますよね?」

「しょうがないと思いますよ?」

 灯さんとエリスさんが、苦笑交じりに温かい笑みを浮かべて居た。

「どうしてくれましょう、この天然スケコマシ・・・」

「言ったじゃないですか、こっちから見れば優良物件だって。」

 二人のそんな声が聞こえて来る。口ぶりからすると、既に恋人か、夫婦なのだろうか?どうせなら私も立候補すればその線も有るのだろうか?

 二人は私と違って生命力と自信に溢れていて、女の私から見ても奇麗で魅力的だ、張り合おうとなんて思わないが、横に一緒に居る私を夢に見たり目標にするぐらいは良いだろうか?


 数日後、神父さんと子供達に見送られて、無事教会から送り出された。

「ようこそ、歓迎します。」

 ある程度のリハビリを終え、改めて案内された家は、御屋敷だった・・・

 え?貴族様?あまりに驚き過ぎて、呼吸が止まりそうになる。

「これが普通の反応でしょうか?」

 灯さんが私の反応にいち早く反応した。

「ちょっと過敏ですけど、不意打ちみたいになってしまいましたし?」

 エリスさんも少し驚き顔だ。

「和尚さん、出番。」

「はいよ。」

 優しく抱きしめられた。

「ほーら、よしよし、怖くない怖くない。」

 言葉は軽いが、手が優しい、ポンポンと背中を叩かれ、頭を撫でられる。子ども扱いであやされているらしい、少し釈然としないが、とても手慣れている、私は直ぐに骨抜きに成った、緊張して固まって居た力が抜けて行く。

「そして、チョロいですね?」

「私たちの場合も、これされると似たような物ですけどね。」

 灯さんとエリスさんは呆れ半分だが、優しい様子で此方を見ていた。


 和尚視点

「あら、その子が例の?」

「嫁其の4?」

 義母上とアカデさんが石鹸の調合をしていた、外注では無かったらしい、作り過ぎると値段が落ちるので、高めに売るには丁度良いのだが、普及させて衛生状態上げるには微妙なラインだったりする、そもそも計量して混ぜて一定時間寝かせるだけなので大量に作るのも其れほど難しくも無い。其処等辺も含めてあずけっぱなしなので、今更口を出す事も無い。

「未だそっちじゃないです、何でもかんでも嫁にせんでも良いじゃないですか。」

 アカデさんにツッコミを入れて置く。

「貴方が望めば拒まない程度に出来上がっているようだけど?」

 アカデさんがクリスを見てそう言いった、クリスの顔を覗き込んでみる、瞳孔が開いて、頬が赤い、呼吸も荒くなってきていると?

「分かり易く、落ちてますよね?」

 灯がそんな事を言う。いや、そんなに簡単に落ちるもんでもないと思うのだが・・

「襲います?」

 エリス迄乗っかっている。

「流石に直ぐには襲わんぞ・・・・」

 現状今直ぐ襲ったらそれ目的で助けたような扱いに成ってしまう。

 妻子持ちだと言うのに謎の童貞感がよぎる、三つ子の魂的な物だろうか?

「そのうち襲ってあげるんですよね?」

「お赤飯焚きましょうか?」

「この世界に小豆あったか?」

 思わずツッコミが横に反れる。小豆と、そもそものもち米も見た事が無い。

 そんな漫才を繰り広げ、改めてクリスの方を見ると、どうやらずーっと此方を見て居た様子だ、目をそらす気配も無い。

「改めて紹介するけど・・・」

「嫁其の4?」

 クリスが自分自身を指差して言った、どうやらそれが一番重要らしい。

「そっちの方向で希望するなら、その線も有ったりしないでも無い。少なくとも無理矢理する方向は無いから落ち着け。」

 思わず丁寧な口調も剥がれて来る。

「抱いて欲しい時は其のまま押し込めば、優しくしてくれるから、急がなくて良いですよ?」

 灯が余計な入れ知恵をする、クリスが赤くなって俯いた。

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