第137話 蒙古斑と化粧品(灯視点)
おぎゃあああ
部屋の隅、寝ていたぬーさんに預けていた光(ひかり)が泣き出した、残りの部屋の隅にある子供用寝台に寝ていたイリスとウルザも釣られてしまったようで、ぐずって居る。
にゃああ
お前の役目だろう、ちゃんとしろと言う様子でぬーさんが迷惑そうに催促する、アカデさんが今更気が付いた様子でぎょっとした目でぬーさんを見ている。
まあ、其方の説明よりは光の相手ですね、臭くないし濡れてない、御飯か、女だけなので気にせず服をまくり上げて授乳を開始する、いや、お義父さんに見られてる時以外は気にしませんけどね。和尚さん居る時はむしろ見せますし。
お義母さんとエリスちゃんもそれぞれウルザとイリスをあやしている。
御飯で合って居たらしく光は乳首を咥えて大人しくなった、片っぽはもう空か、もう片っぽも空にしてくれないかな?と、もう片っぽの乳首を咥えさせる、結構な勢いで吸い尽くしてくれる、食欲旺盛、生育も順調だ。時々お義母さんに3人分任せてしまうので、足りているのだろうか?
それはそうと、ぬーさんの事も気になるようですね?
世にも珍しい冬越し猫の第2形態、子守り猫さんです、最近猫と言うには大きくなってきましたけど、大人しいですからご安心を、ほら、さっきみたいに横になった所で、預けると、ちゃんと相手してくれるんですよ?
主だって?
ええ、多分と言うか、ほぼ間違いなくアレの幼体ですね。
でもアレですね?最終形態があの大きさだとすると、家の中の扉を通れるか怪しいですけど、どうしたものでしょうね?
ん?光の事抱いて見ます?
余り人見知りしない子なので大丈夫なはずです。
抱っこする時はこう、首の後ろに手を当てて頭の位置を安定させてあげるんです、もう片方の手でお尻の辺りを支えて、安定したらこう、エリスちゃんがしてる様に身体全体を使って揺らしてあげるんです、リズムは無理をせず、自然な感じに、うん、上手です。光も変な拒絶反応は起こして居ないので大丈夫ですね。
凄く優しい顔を浮かべて幸せそうにしているアカデさん、どうやら子供嫌いと言う訳では無い様だ。子供が出来ないと言うのは残酷な現実だが、子育て出来ないからと言って女の幸せを全部捨てるというのは辛いので、他の幸せも見つけて欲しい、嫌、既に見つけて研究者として頑張って居るから今が有るようだが。
まあ、後はあの人の反応次第ですけどね。
ふとその顔が、「あ。」と、驚いた顔を浮かべた。
床に水たまりが出来上がって居た、どうやら光が放水をやらかしてしまったようだ、この世界では使い捨ての紙おむつとそれに付いてる吸水ポリマーが無いのが辛いです、生理用品もおしめも只の布ですし。それはそうと、今はアカデさんと光を洗わないと、お風呂行きましょう。
どうせだから一緒に入ります?
この世界では色々と科学文明の恩恵無いのが不便ですけど、この魔法でお湯が使い放題なので色々助かりました。
ん?
光のお尻と背中が真っ青だけど何かって?蒙古斑ですよモウコハン、虐待でもなんでもなく、私と和尚さんの血統に連なると子供の間はそう言う青痣見たいな物が出るんです、勇者の紋章でも王者の紋章でも有りませんよ?竜のなんちゃらでも無いです、青いだけですし、特別な力は何も無いです、でもアレです、この痣を目印にして異端狩りとか魔女狩りとかは止めて下さいね?
何です其れって?
まあ、知らなきゃ良いんです、故郷の黒歴史って奴です。
石鹸は、今は其の薄いオレンジ色の奴をどうぞ、色が薄い方は無香料、狩りに行く時用です、高級品じゃないかって?こっち製造元ですから、流通価格よりもかなり安く作れるんです、お義母さんがちゃっかり売りさばいてますけど、未だ値段高いんですね?
所で、どこらへんで惚れました?
強くて、礼儀正しくて、色々知って居る所?
まあ、其れがあの人の長所そのものですしねえ、割とその線なら王道ですので、ご安心ください。
その方向でならあの人は裏切りません。
意外と世間知らずで気が利かない所も有りますが、その辺に目を瞑ればまず間違いなく優良物件枠です、太鼓判を押してあげましょう。
そう言えば、アカデさん化粧っ気無いですけど、これ使います?
和尚さんが最近、古い白粉の作り方潰して作らせたんです、古いのは酸化鉛やら酸化亜鉛やら塩化水銀の粉使ってたらしくて、色々怖い物だったんで、今のは貝殻焼いて潰して粉にしたのをオリーブオイルに溶いた奴ですから色々安心です、何なら雲母辺砕いたグロスも有りますよ、私とエリスちゃんは未だ使いませんし、お義母さんしか使いませんから減りが遅いんですが、一回混ぜちゃうと油が酸化しちゃうんで使わないと勿体無いんです、まあ試して見て下さい、んでもって、こうして口紅を付けてみると、ん?其れは何かって?酸化鉄の粉と赤いアブラムシを潰してオリーブオイルで溶いて作った赤い絵の具です。こうして原料考えると何とも言えない物では有りますが。
こうして唇に塗ると・・・
おや、思ったより美人になりますね。成程、ベース良かったんですね、之なら私達も威嚇しますね。私達の観察眼に関心です、ほら、こんな感じです。
手鏡を渡して見る、アカデさんはびっくりした様子で固まって息をのんだ様だ。
「ただいま。」
戸を開けて、酔い潰れたお義父さんを背負った和尚さんが帰って来た、すっかりパワーキャラが板に付いて居る。
「「「「おかえりなさい。」」」」
声を揃えて出迎えた。
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