第64話 不在時 妻たちの様子
「和尚さん居ない二人きりって言うのは初めてのパターンですね。」
考えてみると和尚さん中心だ、此方の世界で再会してからはずっと一緒だった。
「そうですね。二人に助けられてから、ずーっと3人でした。」
今となっては、出会う前のことは遥か過去の事に思える、まだ長く見ても数か月単位で、一年もたっていないと言うのに。
やたらと忙しいような濃密なような感じのする生活、スマホやインターネット、同人誌も無い世界だというのに、それっぽい燃料は、和尚さんと義父さん?いや、明らかにその線は無い、どちらかというと腕相撲をした他のPTメンバーをその線に?いや、初回のアレを私を男体化させてヘタレ攻めの強気受けにすれば?あ、それならありだ、意外と可愛いかも知れない。
「灯さんは私より先に和尚さんに逢って居ますよね?最初の頃はどんな人だったんです?」
あの頃か、修業時代で街角の托鉢行で立って居た事ぐらいしか覚えていない。
「最初は5年ぐらいまですかね、凄く物静かな人で、泣いてると黙って横に居てくれる人でした。」
「今のすごく強いのは?」
「元の世界ではその手の活躍の場は在りませんでしたから。まったく目立ちませんね。」
初めて野生動物に襲われて、戦闘モードの怖い顔した和尚さんなんて、向こうの世界では先ず見る機会が無い。
「服装は凄く目立ってますけど。」
「確かに服装は珍しいんですけど、異質だけど目立ちませんね。」
修業中の托鉢坊主と言う物は確かに目立つのだが、異質に溶け込んでしまうので逆に目立たないと言う良く分からないものに成る。
「優しいのはそのままですか?」
「優しいっていう意味では、向こうではエッチな方向で手を出すってことは無かったですね。」
坊主の性欲なんて無縁だと思ってましたし。当時指一本触れてすら居ませんし。
「考えてみたら、当時の性格とは別人です。」
面影だけでよく見分けが付いた物だ。
「そうなんですか?」
「積極的に手を出して来るエロ坊主何て普通居ませんし。」
「今はエッチな事誘うと躊躇なく乗って来てくれますね、今私たちこれですし。」
二人そろってお互いの下腹部を見比べ、未だ膨らんでいない自分のお腹を撫でる、今のこれは、幸せと言って良いのだろうか?変な違和感や嫌悪感等は沸いて来ないのだから特に問題は無いのだろう。
「最初に逢った時は和尚さん修行中で、1年位で居なくなっちゃったんです。再会したのはこっちに来てから、エリスちゃんと出会うほんの数日前です。」
「思ったより、つい最近だったんですね。すごく仲良かったし、和尚さんの事理解しているようだし、連携も取れてるからてっきり熟年かと。」
「エリスちゃん助けるちょっと前に、もう手を出されてましたから、多少は程度ですよ。」
同じ人の嫁同士、隠す必要性が無いので開けすけだ。
「多少でああして結婚申し込んで、こうして居るんですから。色々びっくりです。」
「助け出した次の日に結婚申し込んだエリスちゃんに言われたくないです。」
これはお互いブーメランと言う物だ、スピード勝負にも程が有る。
「だってアレ、明らかに酷い茶番じゃないですか、乗らなかったら私だけ解散で、置いてけぼりなんて嫌です。」
確かに横から見てもアレは酷い茶番だったのは認める。
「まあ、お互い打算と勢いだったけど、後悔してる?」
「今の所後悔する要素在りません、私の目に狂いはなかった感じです。」
力強い、それは何よりだ。
「そう言う灯さんは?」
素直に打ち返されたので、私も素直に返そう、本人目の前でもないし、大丈夫。
「思ったより幸せですね、和尚さんとエリスちゃんセットだったお陰でかなりお得でした。」
「私も含まれますか?」
「含まれます、だから和尚さん居なくても、こうして一緒に居ますし。」
エリスちゃん無しでも和尚さんは勝手に生き残るのは予想が容易いが、エリスちゃんセットで無いと土地勘が無くて多分に苦労する。義母さんと義父さんが一緒に付いて来たので更に楽になった感じだ、こうしてみると、一番幸運だったのは私か?目立った活躍が足りない気もするが、現状チートも無しに安泰すぎる。
「そういえば、和尚さんの出稼ぎだけど、心配しなくて大丈夫?」
自分で言っておいて、現状肉体的に負ける線が思いつかないので、無意味な心配な気もする。
「負ける線が思いつかないです、スカウトしに来たあの人、深紅の翼って言うPTのリーダーで、このギルドのトップランクですけど。」
「雑談ついでに和尚さんに腕折られてた?」
「その人はサイク、前衛担当の力自慢、その前の人です。」
「ああ、あの熊みたいな人?」
「あの人、ヒゲクマさんがこのギルドトップの冒険者です。」
「さん付くんですね?」
「評判良い人何で、皆さん付けなんです。」
たしかにそういう人も居る。
「・・・和尚さん強すぎますね?」
強そうな雑魚1ぐらいの扱いだと思っていたのだが。あれがトップなのか。
「和尚さんの場合、騙されるとか間違えるとかが一番怖いですけど、あのヒゲクマさんは悪い噂を聞かない人なので、大丈夫なはずです。」
色々と信頼が厚いようだ、そうでもないと預けられないか。
「まあ、寝ましょう。おやすみなさい。」
思考を一旦放棄して寝る事にした。
「はい、おやすみなさい。」
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