第6話 増えた食料と風呂
「食料増えてたよ!?やったね?!」
新パターンである、事が終わって夕食の準備に川に沈めた肉を回収しに来たら、沈めた肉にザリガニ系の生き物が群がっていた、全部食われていたら笑い話だが、どうやら丁度良かったらしい、トータルが増えたのか減ったのかは気にしない方向で、これ以上肉を持っていかれないように水から引き上げつつ、つかみ取りして河原にぶん投げていく、数十匹単位でハサミ無しで20センチはある大物である、これはたぶん美味しい、適当にへし折りつつ、紙の器に入れたりしていく、焚火してそのまま石で焼くのが手っ取り早いかと逃げないように灯を呼んで見張っていてもらう、やりたいこと、肉の処理、河原の穴掘り、料理と・・・分業・・
「ところで、焚火料理ってやってことある?」
首を横に振る
「動物解体は?」
横・・
「・・穴掘り」
横
当然だが、結局教育から始めないとならんか、これ含めて世話してくれってことで体差し出したんだろうし・・
火おこしはメタルマッチの使い方とナイフ削りを教え、最初の火力を無視して収まってから焼けた石に食材を乗せていくことを教える、最初の強火を使うと焦げるのだ、一通り教え火の番を任せる、それを横目に皮をはぐ、肋骨に沿って肉を切り離し、間接ごとに外す、二人で食べるにはちょっと多いが、川に沈めておくと残りも全部なくなってしまいそうなのですべて処理してしまおう、石が焼けてきたようなので肉を乗せて焼いていく、又預けて河原に穴を掘る、でかい石をいくらかどけたところで、まあ形にはなった、下の砂掘る体力と余裕はない、規模がでかくなると火力も足りんし、
「焼けた?」
「これで良いですか?」
ザリガニもどきは無事赤くなり、肉は焼けた油をこぼしていた、
「上出来、よしよし。」
軽く頭をなでる、少し表情がへにゃっとなった、喜んでるんならいいけど
「んじゃ夕飯だな、いただきます。」
「いただきます。」
「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
肉とザリガニは美味しかった、食べられるということはいいものである、次は。
焚火の横にできた水たまりに焼けた石を転がして落とす、先ほど掘っていた穴のようなものの成果である、焼けた石が沸騰した気泡と湯気を吐きながら沈んでいく、温度確認は指で、まあこんなもんか。
「風呂沸いたぞ。」
恐る恐ると言った様子で灯が手を伸ばして温度を確かめている、
「直接あっためるのは無理だからこうして石を放り込む、温度調節は石を入れるか、川側の石を崩して冷たい水を入れる、石鹸とリンスの調達はその内と言うことにしておいてくれ。」
さっきの肉の油と灰があれば石鹸できるのだが、まあ後回しだ、固まって安定するまではしばらくかかるし、椿の実のリンスや無患子むくろじやどんぐりの天然石鹸は探すのが大変だ、そもそも生えてるのかわからない、
「んでもって、コンロじゃないから長く温度維持するのは大変なんだ、手っ取り早く一緒に入ろう」
そう言って自分の服を脱いで先に入る。
「早くせんと冷めるぞ?」
少し躊躇したようだが結局脱いだ、今更なので堂々と見物させてもらう、若者特有の張りの有る肌が見える、申し訳程度に隠しているが、色々と見えている、そもそもさっき見たのだが、それはそれである。
「あんまり見ないでください」
少し赤くなった顔で睨んで見せるが、こっちも今更だ。
「すまんね、綺麗だったから見とれた」
とりあえず褒めつつ視線を逸らす、まあポースだけなのだが。
恐る恐るという様子で足をお湯につける。
「もうちょいこっちか奥から入った方がいい、石が焼けてるから火傷する。」
焚火の近くから入ろうとしたので注意して手招きする、観念した様子で近くに来た。
「ちょっと調子に乗りすぎじゃないですか?」
少しすねた様子で横に入る。狭いので柔らかい感触が肩にあたる、胸ではなく肩だが良いものである。
「童貞を調子に乗らせるとこうなるんだよ、覚えとけ。」
笑って返す、童貞は卒業するとすぐ調子に乗るのだ。
「んで、ご感想は?」
少し赤くなった気がする。
「自分一人よりは生き残れそうです。」
そっちか、ちょっと日和ったな?
「それは何より。」
笑って返す、色々と突っ込みたいがこの辺にしておく。
「こっちはこんな可愛いのと遭難できて良かったと思ってるよ。」
「ぶ。」
と、灯が噴き出した、よし。
「勝った」
どやあと無駄に勝ち誇る、意味はないが、おっさん化が進行すると変なセリフを照れもなく吐くことができるのだ、脳の老化によって羞恥心のリミッターが壊れるらしい。
「よくもまあそんな台詞を・・・」
ぴくぴくしながら復帰した、そんなことを言っている間にお湯が冷めたり、俺が石を放り込んだりを繰り返している、結構忙しい、このままエロいこと始めるのは結構厳しいな、ほっとくとただ冷めるし、湯冷め以前にあったまる前に冷える。
「あったまったら言ってくれ、もしくはこっちの焼石切れたら冷えるからあきらめてくれ」
石の熱はそれなりに長持ちするが水の量が多すぎるので焚火の火力で維持するのは結構無理やりなのである、次回はもうちょい頑張って湯舟を作らなきゃならんかと思いながら焚火維持しつつ石を転がしていた。
結局お互い裸なのに手を出す事は無かった。
その夜は大人しく服着てそのまま抱き合って寝た(寒かったのだ)、残念ながらそれ以上エロいネタは無い。
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