マリア・イン・ユートピア

ゆずねこ。

00 プロローグ

アンティークの木でできた椅子。

少女には少し大きく、ぷらぷらと足が揺れた。

その前には少女よりも背の高い誰か。

少女は目を合わせるために顔を上げる。


「     」


歌うように囁かれる言葉。

優しく髪を撫でる大きな手。

少女はこの誰かを愛していた。

同様に、この誰かは少女を愛していた。

少女が見上げるその誰か。

けれど、それが誰かを少女は思い出せないままでいる。

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