第3話 仲間!
◆黒木暗子◆
「さーて! 宿が見えてきたね!」
「そ、そうね」
「魔王を倒すためにもしっかりと休みを取らないと!!」
カノはルンルンと私の横をスキップしていた。
「おい」
「ひっ……」
いきなり横から声をかけられびっくりした。
「あんたら、今『魔王』って言ったよな?」
「えっ。 あっ、はい」
大剣を背負った目付きの鋭い男と金髪の少女がそこにはいた。
「ちょっといきなり何さ! 名前くらい名乗りなよ!」
カノは私の前にでて、男を睨み付ける。
「……悪かった。 俺はカオル。 こいつはサーニャだ」
「どうぞよろしく」
サーニャはカオルに紹介されるとスカートの裾を摘まみながらペコリと頭を下げた。
「私はカノ。 で、この子は暗子」
「ど、どうも」
カノに紹介されたので取り敢えず会釈だけ。
「で、何のようさ?」
「あぁ。 俺たちは魔王トールを倒すために旅をしている。 しかし、二人では戦力が足りなくてな」
「そうなのよ」
「で、あんたらも魔王を倒すのが目的なんだろ? よければ組まないか?」
……一緒に魔王を倒そうってことね。
確かに、カノと私の二人で冒険するのは大変そうだ。
ゲームでは4人くらいがセオリーではないだろうか。
「どーする? 暗子」
「……そうね。 い、良いんじゃないかしら。 人数がいた方が心強いわ」
「決まりだな」
カオルは手を出してきた。
私はその手を取り、握手する。
顔付きは怖いけれど、悪い人ではないようだ。
「明日出発で良いか?」
「わ、わかったわ」
「明日の12:00に、ここで待ってるからな。 装備とかアイテムは揃えとけよ」
「そのへんはダイジョーブ! 私がついてるからね!!」
「じゃあな。 ……待ってろよ、魔王トール! ズタズタに引き裂いてから、犬の餌にしてやるぜ……!」
……こわい。
「じゃあね、お二人さん」
サーニャはそういうとカオルの後ろを付いてどこかへ歩いていった。
「じゃ、取り敢えず宿いこっか。 買い物は明日で良いよね?」
「そ、そうね。 私もうくたくたよ……」
そうして、私達は宿に入っていった。
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