第200話

 この感じ、魔窟や魔塔と同じだな。

 なら、魔力吸収はなんとか対処できそうだ。

 そんじゃ、酒の木の王のところまで行ってみますかね。


「ちょっと行ってきますね」



 王と呼ばれるだけあって、流石にでかいな。

 5メートルくらいか?

 他の酒の木の2~3倍位はある。


 可能性があるとすれば、この王が一番ぽいよな。

 試してみますかね。


『酒の木よ、もしこの声が聞こえるのならば、是非私の願いを聞いていただけないだろうか?』


『ホウ、ワレラノコトバヲ、リカイスルモノカ』


 やはり、魔窟や魔塔の同族か。


『初めまして、私はヒダリ・サシチと申します』


『ワレラノコトバヲ、リカイスルモノヨ。ソノヨウナ、オオキナコエヲ、ダサズトモ、ハナシハキコエテオル』


『これは失礼しました』


 見た目が大きいからつい大声になってたよ。

 しかし魔窟や魔塔も含めて、一体どこで音を聴いてるんだろうな?


『カマワン、ワレノオオキサヲミレバ、ソレモシカタナシダ』


 あれ?

 問答無用で魔力を吸いとっちまうから、もっとこう攻撃的な性格なのかと思ったが、そんなこともないのか?


『ソレヨリモ、ヒサカタブリノ、タシュゾクトノカイワダ。タノシマネバソンデアロウ』


 うん、なんかすごく話が通じそうな人だね。


『ありがとうございます』


『ソレデ、ナニカネガイガ、アルソウダガ』


『よろしいでしょうか?』


『カマワンヨ。モチロン、キキイレルカドウカハ、ワカランガナ』


 話を聞いてもらえるか。

 それだけで十分ありがたい。


『お願いというのは、私が治める村で一緒にお酒づくりを行っていただける方を、紹介していただきたいのですが』


『ホウ。ダガ、サケヅクリトイッテモ、ワレラノミカラデルシズクヲ、ソナタタチガ、イッポウテキニ、アツメルダケデアロウ? ワレラニ、ナンノトクガアル』


『そうですね。ですが皆様にも利点はあるかと思いますよ』


『ホウ』


『私達の村に来ていただくことで種の拡散ができるかと。勿論この土地以外での繁栄を望まれないのであれば、あまり意味はありませんが』


『フム、タシカニ。タノトチトイウノハ、ミリョクテキデハアルナ』


『提供できる魔力の質も』


『ム、コレハ!』


『後は言葉を介したやり取りが可能なことも』


『ウーム。ワカッタ、ドウホウタチニ、キイテミヨウ。モシ、イキタイトイウモノガイレバ、スキニスルトヨイ』


『ありがとうございます』


『イマカラカクニンスル。シバシマテ』


 とりあえずは目標達成かな?

 後は一緒に行ってくれる木がいれば最高だ。

 ま、無理なら無理で、また何か考えればいいからな。


『ドウヤラ、ソナタトトモニイキタイト、モウスモノガ、フクスウイルヨウダ』


 おっと、これは嬉しい誤算だ。

 だが一緒に行ってくれる木の確認はどうするかね?

 一人ずつ話しかけるしかないか?


『ソナタトトモニイクコトヲ、ノゾムモノハミナ、メジルシトナルヨウ、ハナヲサカルソウダ』


 自由に花を咲かせることができるのか。

 なんにしても、目印になるものがあるのはありがたい。


『ありがとうございます。早速お迎えにあがらせていただきます』


『ウム、ワガドウホウタチヲ、ヨロシクタノム』


『最後に、あつかましいお願いを。もしよろしければ貴方の滴をいただけませんでしょうか?』


 誰も味わったことがない酒の味。

 許してもらえるなら、是非とも味わってみたいからな。


『フハハ。ヨカロウ、サキホドノマリョクノレイダ、モッテイクトヨイ』


『ありがとうごさいます!』


 幻の酒、ゲットだぜ!

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