第161話

 しかし、あれで解任ねぇ。

 ザーバレナさんの上がなんなのか知らんが、あれは本意じゃなかったってことか?

 ザーバレナさんの知らない戦力でもあるのか、もしくは被害額しかみてないか、それとも政争にでも利用されたか?


「差し出がましいとは思いましたが、私の敬愛する元主がこのような状況に追い込まれているのは見るに耐えられないので」


 まあ、なんにしてもそれなりの組織を仕切ってたんだ。

 手が空いててそれなりにやる気が残ってるなら、誘っておいて損はないだろ。

 断られたらそれまでだしな。


「ザーバレナさん」


「なんだ! ひっ、いえ、なんでしょうか」


 ゼラマセンさんに弱ぇな、おい。


「ゼラマセンさん、ザーバレナさん、別にそこまで堅苦しくなくてかまわないですよ」


「ヒダリ様がそうおっしゃるのであれば」


 これでまともに会話できるかな?


「それでザーバレナさん、あなたはどうしたいですか?」


 ゴロゴロしたい人に、無理強いはしたくないからな。


「どういうことだ?」


「そのままの意味ですよ。あなたの解雇の背後にどのような意味があったのかは私は存じません」


「な」


 やはり何かあったのか。

 まあ、だからといって何が変わる訳でもないんだけどな。


「あなたがこの街で名誉を回復したい、またはあなたがなにもしたくないというのであれば私の出る幕はありません」


 流石によそ様の街の運営はどうにもならんからな。

 なにもしたくない奴になにかやらせるのも酷だ。

 だが。


「ですがもし、あなたがやりたいことがあって、それを実現する場所がここではない別の所でもよいというのであれば、私がお力になれるかもしれません」


 まあ、計画とか企画なんかはレイラさん達に丸投げだけどな。


「力になるだと? 私をこの立場に追い込んだ貴様が言う言葉か?」


 ん?

 帰れでも拒否でもなく、なじるだけか。


「私はザーバレナさん個人に何かをした覚えはありませんが?」


「敵対したのは協会とその責任者であって、私自身ではないということか」


「その通りです」


 ザーバレナさんには申し訳ないが、殴り込んだ組織の責任者で交渉相手くらいの認識しかないからな。

 個人的な敵対感情なんざあるわけがない。


「ふん、信用できるか」


 まあ、それも間違ってはないよな。


「わかりました、それではこの話は無かったという事で」


 んーむ、なんかあるかなとは思ったんだが。

 どうやら思い違いだったかな。


「ヒダリ様お待ち下さい!」


 えっと。

 どなた?


「ご挨拶が遅れました、私はザーバレナの夫、パンナートと申します」


 ああ、この人がさっきベルト外されてた人ね。

 というかさ、この外見はダメじゃね?

 ザーバレナさん、アウトだろ。

 

 ……。

 第二のサベローあらわるだな。

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