第151話

「こちらが鍛治場になります」


 書庫みたいなことにはならないでくれよ。

 ルルに博士に教授にレーブか……。

 無理無理、確実になんかおこるだろ。


「あの、ヒダリさま」


「なんでしょうか?」


「これが鍛治場なのでしょうか?」


 ?

 炉もあるし、ハンマーとか作業場もあるし。

 鍛治場じゃないのか?


「いえ、鍛治場というには設備が多彩というか」


 こっちに設備を移したときに色々増設してたらしいが。

 他を知らないからな、違いがわからん。


「例えばあちらですが」


「魔動機兵の格納庫がなにか?」


「普通の鍛治場には魔動機兵の格納庫はあまりないかと」


 そうなのか。


「アチラが気になりまスカ?」


「ルルいたのか。こちらはナセルリナさん、村の案内をしているところだったんだ」


「ハジメましてナセルリナさん。ワタシはルーシェル・ヒダリといいます、どうぞよろしくお願いしマス」


「ヒダリということは」


「ハイ、ワタシはヒダリ村長の妻デス」


 うん、あれだな次から次へと妻がでてくるよね。

 この村を歩いてるとまだまだ続くけどな。


「セブン、ナセルリナさんのコト、他の皆に事前に伝えていまシタカ?」


「いや、出かけるときはみんな寝てたしな」


「ウーン、セブンにしては珍しく気がまわっていませんでシタネ」


 ん、確かに。


「自分の夫が事前になんの説明もナク、他の女性をつれ歩いているのを見てイイ気分になることはあまりないデスヨ」


 キョウも機嫌悪くなってたしな。

 気をつけてるつもりでもまだまだだ。

 うーん、最近皆に甘えすぎてるのかもな。


「ソンナ事はナイデスヨ。タダ不必要な焼きもちハ、できれば焼かせないでクダサイ」


「口に出てたか?」


「イエ、なんとなくデスヨ」


「そうか、ありがとうなルル。気をつけるよ」


「ハイ」


 ん?

 なんでナセルリナさんが赤面してんだ?


「ナセルリナさん、どうかされましたか?」


「い、いえ。なんでもないです」


 ?


「そ、それよりも、あちらにあるのは魔動機兵の内骨格でしょうか?」


「ソウデスヨ」


 へー、魔動機兵の骨組みみたいなもんかね。


「見たことがない素材でできているようなのですが。機体の規格も他のものと大きく異なるような」


「ワカリマスカ!!」


 ルルのテンションが!?


「ええ……。これってもしかして独自規格の新型!?」


「その通り!」


「そいつは私たちが開発中の新型G000さ!」


 このタイミングでこの二人かよ。

 てかなんだよG000って。

 火に油どころか戦場に爺さんとポンコツ四人衆レベルで嫌な予感しかしねーんだが。

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