第14話 魔法と魔方 その2
「もうここまで調べましたか。サシチはなかなか優秀ですね。ランガーやリシャルでは比べものにならないレベルです」
あの二人と比べられてもな……
完全に武力のみ、筋トレと殴りあいしか頭にない連中じゃねーか。
「さて今のガンドラルで男性が魔法が使えないのが女神達によるものとのことですが、ほとんど正解です。ただ1つだけ。女神達が何故このようなことを行ったのかというと、これもあの方が原因なのですよ」
また爺さんかよ。
「少し長くなりますが、よろしいですか?」
「ああ、かまわない。ここまで聞いたんだ、気になってしょうがない」
「まず魔法についてですが。もともとの魔法というものは、習得にとてつもない時間と鍛練を必要とするものでした。まあ普通に考えてみてください。なにもない場所でいきなり火を出したり水を出したり、あげくには時間や空間に干渉するなんて、そんな簡単なことではないでしょう?」
魔法の一言で片付けているが個人が自分の意思で自然現象を起こす、たしかにとんでもないな。
「サシチのいた世界でだって空気?の中に火の素や水の素があるけれど、それをなんの機材も使わずに火や水にできる生き物ってあまりみたことがないでしょう?」
「あまりというか見たことないぞ」
「多分見たことがあっても気づいていないだけですけどね。種も仕掛けもありませんってやってる人がいたでしょ?あの中には種とか仕掛けが魔法に近いものだった人もいるんですよ」
まじか!?
マジシャンすげーな!
「話がそれました。とにかく、1生物が自分の意思で自然現象を起こす。しかも戦術や戦略に組み込めるほどの規模で起こそうと思ったらどれだけ大変なことかわかりますか?」
わかるかと言われると、すごいなーくらいの認識しかないな。
「たとえば水を出して相手を押し流すとしましょう。まず対象を決めて、そこにどれだけの水をどれだけの力でどれだけの時間発生させるのか。その水を作るための魔力をどう集めて、どう構成して、どうやって維持するのか。そういった大量の工程を維持コントロールする必要があるんですよ。しかも今言葉にした以上の工程を一瞬で行わなければならない」
聞いてるだけで、面倒になってきた。
魔法ややこしくて面倒くさいな。
「今、ややこしくて面倒くさいと思ったでしょ。その通りです。だから習得にものすごく時間がかかります。とてつもない魔法の才能があっても使える魔法使いになるのには50年はかかります」
天才でも50年か…
もう魔法いらねえや。
「さらに言うとこれだけ時間がかかることを、さらに時間をかけてまで他人に教えたいと思いますか?」
思わない、すくなくとも俺は嫌だ。
50年以上かかる面倒なことが単純に倍。
やらないな。
「そんなめんどうな作業を経て魔法使いを名乗れるようになった方々を戦場で片っ端から潰してしまったのですよ。あの方は」
爺さん最悪だな。
「しかも潰された相手には戦う魔法使いだけではなく回復や治療も行う魔法使いも多くいました」
爺さん、マジ最悪だな。
「魔法使いの仕事は実を言うと戦闘などよりも回復や治療、土木関係など生活に関わる分野で重宝されていました。それがごっそりといなくなる。あの方の暴れた後の復興にも大きな支障が出て来て、ガンドラルはもうどうにもならないところまできていました」
爺さん、マジ最悪だな。
「そこで女神達は何とかして魔法使いを増やせないか考え、自分達の魔法に関する能力の一部をガンドラルに分け与えようと決めたのです」
「それが方式術?ああ、そうか。女神の能力って言うのが遺伝子みたいなものだとして、性別に強く影響を受ける部分だったてことなのか?」
「そうですね。女神達も分け与えた力が女性限定になるとは思っていなかったようですが、与えてみたら性別と強く結び付いていたようで女性のみの能力になってしまい、本人達も驚いていたようです」
「なあ、ルド」
「なんでしょう?」
「ガンドラルの神様は皆そんなのばっかなのか? 考えなしの行き当たりばったりな話ばかりなんだが」
「そんな方ばかりですよ。大きな力持っているからといって、全知全能の人格者なんてことはないんですよ。泣きもすれば笑いもする、嫉妬やら欲望だってある。そんな方達ですよ」
なんだろうな。
無茶苦茶なのになんか楽しいぞ、ガンドラル。
「楽しいでしょう?」
「ああ、楽しいな」
「楽しいついでにもうひとつ。女神達のギフトはすべての女性に届けられました。老いも若いも、種族なども一切の区別なく」
「?」
「犬も猫も魚も魔獣もすべてに届けられたのですよ」
「ということは」
「ええ、女神側の戦力強化にはなりました。ただそれと同時に数多の新しい外敵も生まれたのです」
「もうさ神々何とかしろよガンドラル。爺さんも大概だけど女神達もひどすぎだろ」
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