第9話 梟とおっさん

「えっと、こんにちは?」


 おっさんがなにか捲し立てるが。

 何語?


 何をいっているのかさっぱりわからん。

 たが、なにか怒っているのとも違う雰囲気だ。


「あなたはこれをどのように壊したのか?と聞いています」


 デカイ梟が喋った!?

 しかも日本語だ!


「この言葉も通じませんか? ならば」


「あ、通じてる。理解できる。いや、失礼。通じています」


「よかった、どうやらこの言葉が通じるようですね」


「ああ、じゃない。通じています」


「無理に口調を整えなくても構いませんよ。私もこの言語に不馴れなために必要以上に丁寧に話しているだけです」


「そう言ってもらえると助かる。長い間、会話をしていなかったせいか、若干言葉が乱暴になってる」


 そう、久しぶりの会話だ。

 どれだけ久しぶりなのか覚えていないほど!


「あの二人は会話することは許されてませんでしたからね」


「あのランガーってやつと弓エルフを知ってるのか?」


「はい、あの二人もこの屋敷に滞在していますよ。後程紹介しますね」


 ゴツイおっさんが会話に割り込んできた。

 相変わらずなに言ってるのかわからん。

 お、梟がおっさんをなだめはじめた。

 おっさんは今度は梟に話すのか。


「えーと、あ、話すことに夢中で名乗っていませんでしたね。私はルードウル・ル・シュタイン。ルドと呼んでください」


「俺はサシチ・ヒダリ。サシチでいい」


「では、あらためまして。はじめましてサシチ」


「ああ。よろしくなルド」


「そうそう、こちらはレーブ・ダダン。レーブと呼んであげてください」


「よろしくな、レーブ。といっても言葉が通じないか」


「挨拶をされていることは何となくわかっているかもしれません」


「そうか、それでレーブは俺に何を言っていたんだ?」


「それはですね、あなたがこの門をどうやって壊したのか。それが聞きたいようです」


「ん?何故壊したかじゃなくて、どうやって壊したかが知りたいのか?」


「まあ、私としては何故壊したのかも知りたいところですが」


 ルドの視線が心なしか冷たい。


「申し訳無い。立て札が読めなくて、しかも他に道もなかったからな。この門に入る為には破壊以外の選択肢を思いつかなかった」


「はあ」


 ため息つかれた。

 しかもさっきよりも視線が冷たい。


「まあ、壊してしまったものはどうしようもありません」


 どうしようもありませんで済むのか。


「それよりもです」


 切り替え早いな。


「この門をどのように壊したのですか?」


 おっと今度は好奇心全開って感じだな。


「んっと俺のスキルだな。これ以上は悪いな、教えられない。ルドが敵か味方かもわからんからな」


「スキルですか、確かにそれ以上のことを聞くのは難しそうですね」


 あっさり引き下がるな。


「レーブもスキルならばしょうがないといっています」


「申し訳無い」


 ここは潔く頭を下げるところだな。


「頭をあげてください。確かに私たちはサシチの味方ではありません。スキルの詳細を隠すのは当然です」


 本当に気にするなといった感じか。

 そろそろ本題かな?


「さて、ここからはサシチの試験の時間です」


 ルドとレーブの目がこええよ。

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