鯨の降る空

青辺 獄

鯨の降る空

 空から甲高い声が響いた。人々が見上げると、鯨が空を泳いでいた。


 政府の見解によれば、『過剰な環境保護によって海の生態系が崩れてしまい、鯨の数が増えすぎたため、空まで溢れてしまった』とのことだった。


 そのうち、死んだ鯨が空から落ちてきた。地上にいた男が鯨に押しつぶされて圧死した。

 彼は生前、捕鯨に反対していたという。






 今日も、空からは甲高い鳴き声が響き渡る。

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