断章『わたしの躰』

鯖みそ

想像

赦しを与えられたい――無人称の、すなわち――神からの赦しを。


――なぜ。それは一つに、罪だからだ――想像することの。空白を埋めるという――わたしの思いが。そしてこれは、きっと誰かを――殺すことになる。どのような殺害か。

それは、ひとえに――「名づける」、という殺害行為。だからこれは――目的のない赦しだ。明らかな目的のない赦し、すなわち――みずからの保身や、防衛のためではない、ということ。


そして、外形的でもない。

けれど、殺人は――行われている。いま、まさに――この手によって。だからこそ、無人称の――誰のためでもない――神の赦しを与えられたい――と、祈る。


そして、愛したい。――何を。わたしの心の――ざわめきを。わたしの躰が発する――ざわめきを。どのようなざわめきか。――これはきっと、亡霊の、愛するものの、そしてエトランジェのものの。



一つずつ、拾い集めていこう。――誰のために。――わたし自身のため。――そうまさに――私の躰のためだけに。

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