こんな青春がありますか?あると思います
@grow
第1話 素直な彼氏と照れ屋な彼女
「ほら、いつまで布団に入っているの。起きなさい」
「ううん、布団の温もりが俺を離さないんだよ。今日は休むわ」
「布団の温もりよりも、私が作った朝ごはんの暖かさを味わって欲しいものね」
「・・・手作り?」
「?手作りじゃなきゃなんだってのよ。ていうか、いつも作ってるの見てるじゃない」
「分かった。起きるから先に居間に行ってて」
「そう言っていつも起きて来ないじゃない。ここで見てるからさっさと起きて」
「制服に着替えてから向かうつもりなんだけど、見てるの?」
「なっ! あああそ、そうならそうと早く言いなさいよ!」
「行っちゃった。耳まで真っ赤になってたな。あの可愛さが計算じゃないところがヤバいよな」
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「やっと来た。それじゃあ食べましょ」
「先に食べててよかったのに」
「食事は一人では美味しくないものよ。ほら、席に着いた着いた。はい、いただきます。どう? 今日のも美味しいと思うんだけど」
「うん。お味噌汁、塩加減が濃すぎないで好き。ご飯、柔らかすぎず噛み応えあって好き。魚も簡単に身が取れる焼き加減で食べやすくて好き」
「そんな好き好き言わないでよ、恥ずかしい」
「本当のことだからなー。どれも俺好みで美味しいから好き。ありがとな」
「ああ! もう、分かったから静かに食べて。身支度が終わったら学校に向かうわよ」
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「今日もいなかったけど、お母さんたちはまた泊まり込みで仕事?」
「うん。3日ぐらい泊まらないと終わらないって泣きながら電話きた」
「そう、じゃあ冷蔵庫の中身がそんななかったから帰りに買い物するからそのつもりでいてね」
「分かった。じゃあ教室こっちだからまたね」
「それじゃ。授業中に寝るんじゃないわよ」
(二人が別れてから)
「食材を買うだけだけど、放課後デートって分かってるのかな? 分かってないと思うけど、買い物中に指摘したら面白くなりそう。付き合ってるはずなのにデートなんて数えるほどしか行ってないもんな」
「あいつは肉料理が好きだから、それを主食にして。でも、野菜も食べないと体に悪いから。後は、って、大事なことだけど、何で私があいつの体の心配しないといけないのよ!
まったく。・・・まったく、もう」
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「買い物も済んだし、帰るわよ。荷物持ってもらってるけど、重くない?」
「大丈夫。一応鍛えてるから。でも出来ればこの軽いのだけでも持って欲しいかな」
「それは良いけど、もう少し重くても平気よ?いつも買い物してるから慣れてるし」
「いや、重いから持って欲しいんじゃなくてさ。こうすれば手をつないで歩けるじゃん」
「え! あ、うん。そうね。私たち付き合ってるんだから手ぐらい繋ぐわよね。いいわ、ほら繋ぎなさいよ」
「はいはい。手を繋げて嬉しいなー。そういえば、家の方は良いの?食事当番のはずだよね」
「ああ。あんたの家の事情を話したら、今がチャンス、あ、じゃなくて大変だから作ってあげなさいって母さんが」
「そうか。今度会ったらおばさんにお礼言わないとな」
「お礼なんていいから、またウチで食事しに来てねっとか言いそうだけどね」
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「ごちそうさま。美味しかったー。食器は後で洗っておくから遅くなる前に送るよ」
「あら、優しいのね。あしたは雹でも降るのかしら。ってか、送るって数メートルしか歩かないんだから平気よ」
「念のため念のため。もしかしたらつまづいて転んだり、ぼーっとして電柱にぶつかったりするかもしれないからさ」
「私をドジっ子だと判断する材料がどこにあるのよ。まあいいわ。それじゃあ帰るわね」
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「今日はありがとうな。朝から面倒かけてごめんな」
「こんなことで謝らないでよ。たまに、めんどくさいなーとは思うけど慣れたわよ。何年やってると思ってるの、このやりとり。一年の7割は今日みたいなことをしてる気がするわよ」
「そうかもねー。これからも頼りにしてるよ。おやすみ」
「そうよ。少しは自分でできること増やしなさいよ。ま、増やさなくても、私が側にいるんだから、大船に乗った気でいなさい。おやすみなさい」
こんな青春がありますか?あると思います @grow
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