ぼっちと委員長
ソーヘー
幼馴染の委員長
僕には友達がいない。多分、クラスメートの大半は僕のことなんて認識していないだろう。けれどそんな僕にも好きな人がいる。
「また一人でいるの?私が友達になってあげよう!」
「委員長は人気者なんだし...あまり僕とは一緒にいないほうがいいんじゃ...」
「私が一緒にいたいからいるんです!何か文句がありますか?」
「ならいいんだけど...」
僕のことを唯一気にかけてくれる女子、それが委員長だ。僕と委員長は幼馴染なのだが、今では僕はぼっち。委員長はクラスの人気者という対極の存在である。そんな僕だが、実は昔から委員長に密かに好意を寄せている。人気者の彼女に迷惑をかけない為にも、僕はぼっちでいなければならない。
「そうだ!今日一緒に帰ろうよ!」
「えっ?」
委員長の発言に僕は動揺を隠せないでいた。一緒に帰るか...僕と委員長は家が近いので小学校までは一緒に帰っていた。僕も昔からぼっちだった訳ではない。小学校までは普通の男子生徒だったのだが、中学に上がると同時に一人になることが多くなり、気がつくと僕はぼっちになっていた。なので僕は誰よりも早く家に帰るようにしていた。仮に誰かと帰っているところをクラスの女子に目撃されでもすれば、次の日にはありもしない噂が飛び交うことだろう。特に、人気者の委員長ともなれば噂なんてものじゃない...次の日にはクラスの男子から僕宛の殺害予告が飛び交うことだろう。委員長と帰りたいのは本意だが、僕は彼女の為にも、一緒に帰ることはできないんだ!
僕は彼女の誘いを断わろうと手に持っていた本を閉じたその時、先生が僕らを呼んだ。
「委員長と、えっと...そこの君。この集めたノートを職員室へと運んでくれ」
「了解しました、先生」
「名前くらい覚えてくださいよ...先生」
こうして僕と委員長は集めたノートを職員室へと運ぶことになった。
職員室へと向かう道中。僕と委員長は特に会話することもなく黙々と歩いていたのだが、僕はずっと疑問に思っていたことを委員長へとぶつけた。
「なんで昔から委員長は僕と一緒にいてくれてるの?今の僕なんてぼっちなのに」
「え?それは幼馴染だし、それに好きだからだよ」
「今なんて...」
「だから好きだからだよ?」
委員長の唐突な告白に僕は持っていたノートを落としそうになった。
まさか...委員長も僕のことが好きだったのか⁉︎これって両想いってやつなのだろうか⁉︎もしそうなら、僕も委員長の気持ちに応えなければ‼︎
「実は僕も昔から委員長が好きでした‼︎」
「えっ?」
「え...?」
「私が好きだって言ったのは、お節介がってことだよ?」
うん、終わったな人生。冷静に考えたら普通こんな場所で告白なんてしないよな...委員長引いてるだろうな...けどこれで良かったんだ。ぼっちの僕と委員長とではやっぱり釣り合わない。普通に告白して振られでもしたら多分僕は死ぬ...それに比べたらこんな形で振られた方がダメージは少ないよな。うん、ダメージは...全然少なくない。
「ごめん、今言ったことは忘れてくれ...」
「ちょっと嬉しかった...かな」
「え?」
「ううん、なんでもない!早く運ぶわよ‼︎」
そう言って彼女は駆け足で職員室へと向かった。一瞬だったからよく見えなかったけど、
彼女の頬は少し火照っていた気がする。
ぼっちと委員長 ソーヘー @soheisousou
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