ハムレットtoヘブン(ルネ・デフォルト氏の第六十感)

天派(天野いわと)

第1話 核ジャック

2019年 ネバダ砂漠

ネバダ砂漠のど真ん中にある核弾頭処理施設に旧核弾頭を運ぶ大型トラックが砂漠に延々と伸びる一本道を走っていた。

 その道の彼方で光るものがあった。

助手席のパーマーが双眼鏡でその正体を確かめた。

パ「ヒュー!おい、ジョン、砂漠のど真ん中に美女がいるぜ」

ジ「冗談だろ。貸せ」

 ジョンは双眼鏡を奪い取って片手運転しながらそれを確かめた。

ジ「わお、確かに美女に違いない!」

日除けのための大きな帽子を目深に被った美女、実際は顔は見えないがスタイルからして美女に違いにない女が、スポーツカーを道端に寄せて止まっていた。

ジ「ボンネットが開いているところを見るとオーバーヒートだな。お、手を振ったぜ。俺たちに気がついたのだな」

パ「しかしこの道は一般人立ち入り禁止のはず、何で女がいるんだ?」

ジ「馬鹿か。検問があるんだ。それを通過してるってことは核弾頭処理施設の人間だろうが。トラックを止めて助けよう。でないと干上がってしまう」

パ「しかし、核弾頭搬送中は許可なしに止めても人を乗せても駄目だろうが」

ジ「たかが女一人だぜ。大の男二人に勝てるもんか。止めよう」

 ジョンは女の前でトラックを止めた。無防備に降りようとするジョンにパーマーは軽機関銃を渡し、自分もそれを肩に掛けてから降りた。

ジ「お嬢さん、どうやら車の故障のようだな。騎兵隊が助けに来たぜ」

 ジョンは欲情を隠しきれずにスタイル抜群の女を嘗め回すように見た。

 女は右手を後ろに隠していた。

「しかし、行き着く先は核弾頭処理施設のみ。あんたみたいな美人がどうしてこんなところにいるんだ?」

「あなたたちが運んでいるものが欲しいから」

女が差し出した右手には銃が握られていた。

ネバダ砂漠のど真ん中で乾いた音が二度響いた。

ジョンとパーマーは呆気に取られた顔のまま、額のど真ん中に穴を開けられてぶっ倒れた。

 次の瞬間、砂漠の中から何人もの男が飛び出してきて、核弾頭運搬トラックを乗っ取り、道を反れて砂漠の中にトラックを走らせ始めた。

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