奥様は超能力者

@aaejgp

第1話 奥サマは超能力者


「あら、昨日は土砂降りだったのに今日はいい天気そうね。ふふ、溜まってた洗濯物、全部片付けられそう」


窓から外を覗くと朝日の強い光が差しこんでいる。


前日の雨によりそこらにはまだ水溜りがあり、それが太陽の光を反射し、より一層の眩さを覚える。


春先でまだ寒さの残る早朝、メリルは前日に溜まった洗濯物を干す為に籠にいっぱい入っている衣類をいそいそと庭へと運んだ。



雨のあとの透き通った空気感、今日は別に何もイベントなどはないが、この空気を吸うだけで自然と笑みがこぼれる。



「あっ!!」


籠いっぱいに入っていた衣類の一枚がふと吹いた風にのせられ宙を舞う。



下は雨上がりでぐちゃぐちゃ、せっかく洗ったばっかりの服が地面に


つかなかった。



「もう、危ないな〜」


メリルがその衣類に手を翳していた。



「あ!ふいに使っちゃった」


念動力(サイコキネシス)


「周りには……よし、誰もいないし見た人いなかったみたい」


残留思念感応(サイコメトリー)、千里眼(クレヤボヤンス)


「うーん、当分だれもこないみたいだし、やっちゃおっか!」


洗濯物は籠の中から次々と消え、その全てがきれいに物干し竿に干された。


瞬間移動(テレポーテーション)


「くしゅん!うう、まだまだ寒いのね。誰もいないし火で温まろう」


空中に突然火の玉が出現する。


発火能力(パイロキネシス)



「そろそろルーク君が起きるかも!火、消さなくちゃ!」



「ふぁ〜、メリルおはよう」



まだ眠気のとれない様子でルークはやってきた。


「おはようルーク君、ごめん。薪が昨日の雨で湿気ってちょっと使えないの。スープ温めるの頼めるかな?」



「昨日の雨すごかったな、まかせて」



ルークは鍋の乗ったコンロを指差すと呪文を唱える。


「➖➖➖➖➖。ファイヤ」



ボッと鍋の底から火が出現した。



「ありがとう!さすがはルーク君!」


「まあ、ギルド職員ならこれくらいはね」



ポリポリ頭をかき、照れ隠しをしながらルークは服を着替えにいった。




今、ルークの使ったのは魔法といわれるこの世界では日常で使われ、起こる現象だ。


生きとし生ける全てのものが使える訳ではないが、王立魔法研究所の発表では全人類の8割は魔法が使えるとの見解があるくらいポピュラーなものである。



そんな魔法が存在する世界にイレギュラーな超能力を持った奥サマの織り成す物語。



「それじゃ、いってくるよ」


「いってらっしゃい!あ、ルーク君。傘忘れないでね?」



「昨日いっぱい降ったし、こんなに晴れてる。今日は降らないって……といいつつ、メリルの予想は怖いくらいあたるからな。ふふ、持っていくよ。いってきます!」



「いってらっしゃい!」



未来予知(フューチャーサイト)

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