美少女名探偵に屋上へ呼び出されました⁉

もえすとろ

冴えない僕と美少女探偵

守屋「こんな所に呼び出して告白かな?」

家厨「ち、違うわよ!」

なーんだ違うのか、残念

家厨「あなたが真犯人……教授ね!」

守屋「そうだ、と言ったら?」

家厨「必ず捕まえるわ」

守屋「そういう簡単に捕まるわけにはいかないな」


家厨「4月に起きた備品の神隠し事件、アレはアナタの仕業ね?」

守屋「あれは、悪戯好きの加藤くんがやったことだろ?」

家厨「加藤くんは手紙の指示に従った、そう言ってるの」

守屋「嘘かもしれないよ?」

家厨「私も最初はそう思ったわ、でも違った」

守屋「そう。それで?その手紙は見つかったの?」

家厨「既に焼却炉で燃やされた後だったわ」

守屋「なら証拠は無いね」


家厨「5月の黒板落書き事件、これもアナタの仕業ね」

守屋「あれは山本さんと山下くんの共謀でしょ?」

家厨「彼女達はアナタの流した噂に騙されたのよ」

守屋「俺が流したって証拠は?」

家厨「ないわ、小さな噂話なんて大元を辿るのは不可能よ」

守屋「やっぱり証拠は無いんだね」


家厨「6月の転校生不登校事件もアナタが関与してたんでしょ?」

守屋「……クラスメイトだからね。一応は関わってはいたね」

家厨「いいえ、転校生が不登校になるように仕向けて、その後登校出来るように仕向けたのはアナタでしょ!」

守屋「あれはウチのクラスで起きたイジメが発覚しただけだよ。弱者を救った英雄の家厨さん」

家厨「……イジメの主犯は退学、共犯者は転校したわ」

守屋「君の推理力でね」

家厨「違う、私の力じゃない!あんなにイジメの証拠が揃ってたら誰だって解決できた!証拠を揃えたのはアナタでしょ!」

守屋「なんの事だか分からないな。俺は全然気づかなかったよ」


家厨「7月の怨霊の七夕事件の短冊もアナタが用意したシナリオだった」

守屋「あれは怖い話だったね。俺も解決するまで一人でいるのが怖かったよ」

家厨「嘘よ!アナタが仕掛け人なのは分かっているわ」

守屋「でも、俺には完璧なアリバイがあったよ」

家厨「……不自然に完璧すぎるのよ。アナタのアリバイは!」

守屋「そんな事言われてもな」


家厨「8月、校内肝試しの人魂事件。あれもアナタの仕業でしょ!」

守屋「あれは、佐藤先生が仕掛け人だったじゃないか」

家厨「佐藤先生が仕掛けたにしては目撃された人魂の数が合わないのよ」

守屋「数え間違いじゃないかな?何せ暗かったんだし」

家厨「その可能性もあるわ。でも、アナタが仕掛けたと私は確信してるわ」

守屋「何を根拠に?」

家厨「一切アリバイが無いから」

守屋「あの場に居た全員も同じくアリバイがないからね。根拠にしては弱いね」


家厨「9月の惨劇の体育祭、みんなを囃し立てたのはアナタね」

守屋「あれは個人個人が浮かれすぎてちょっと暴走しちゃっただけだよ」

家厨「いいえ、普段大人しい子たちまでおかしくなったのはアナタが原因よ」

守屋「ストレスでも溜まってたんじゃないかな」


家厨「10月の暗黒の文化祭は?アナタが関わっているって証言もたくさんあるわ」

守屋「そりゃ、俺は実行委員だったからね」

家厨「白々しい!アナタが関与しなければなんて呼ばれなかったのに!」

守屋「それは結果論ではないかな?」


家厨「11月はマラソン大会でやらかしてくれたじゃない」

守屋「何のことかな?」

家厨「途中リタイア多数、ショートカットによる不正、全部アナタが仕組んだんでしょ!」

守屋「知らないのか?その日は病欠していたんだよ、俺」

家厨「目撃者だっているんですよ!」

守屋「人違いだ」


家厨「12月の有志が企画したクリスマス会を悲劇のクリスマス会にしたのは許されませんよ⁉」

守屋「あれは悲しい出来事だったな」

家厨「アナタは参加してなかったでしょ⁉」

守屋「こっそり参加していたよ?誰にも気づかれなかったけどね」

家厨「そんな筈ない!あの時の参加者にアナタの名前は無かったわ!」

守屋「本名では参加してなかったからね」

家厨「なんでそんな事を?やましい事でもあるのね」

守屋「参加しようとしたら断られたからね、意地でも参加してやることにした」

家厨が可哀そうな人を見る目を向けてくる


家厨「そう、えっと……じゃ、じゃあ1月の無人の新年会はどう説明するつもりですか⁉」

守屋「そんな事あったかな?」

家厨「連絡がズレて誰一人まともに集まれなかった事件です。誰かが意図的に日時と場所をズラしたんです」

守屋「あー、あの時の事か。俺も寒空の下3時間くらい待ったんだよね。誰も来なかったけど」


家厨「3時間……そう、ですか。じゃあ2月の血のバレンタイン事件は?」

守屋「あの日はちょっとした悪戯をしたな」

家厨「ゃっぱりアナタが」

守屋「クラスの男子の机の中に俺の手作りチョコを入れておいたんだ」

家厨「え…?何でそんな事を?」

守屋「なんでって、チョコが貰えない男子が憐れでね」

家厨「今嘘つきましたね?視線の動きがおかしかったです!」

守屋「あはは!凄い洞察力だね!ホントの目的は彼女持ちの男子の狼狽える姿が見たかったからさ!」

家厨「はい?血のバレンタイン事件は」

守屋「なんのことかな?」


家厨「なら、3月のラブレター事件は?」

守屋「それも俺は関係ないと思うけど?」

家厨「放課後、アナタが下駄箱の付近をうろついていたと目撃者が言ってます」

守屋「んー?そりゃ俺だって下駄箱は使ってるからね~」

家厨「アナタが目撃されたのは違う学年の下駄箱でした。これも目撃者がハッキリと言ってます」

守屋「そっかー、それで?」

家厨「何をしていたんですか?」

守屋「ラブレターを入れようとしていたよ。入れられなかったけどね」

家厨「入れられなかった……?」

守屋「うん、まぁ。怖気づいてしまった」

家厨「……そうですか。誰の下駄箱に入れようとしたんですか?」

守屋「それは秘密だよ。言えるわけないだろ?」

家厨「そ、そうですよね!すみません」


守屋「それで、聞きたいことは以上かな?」

家厨「いえ、もう一つだけ」

守屋「そろそろ帰りたいんだけど?」

家厨「次で最後です」

守屋「何かな?」

家厨「アナタは何一つ事件に直接手を出していない、そうですよね?」

守屋「そうだね」

家厨「ならどうやって彼らを動かしたんですか?」

守屋「彼らっていうのは?」

家厨「事件の主犯の彼らです」

守屋「だから俺は」

家厨「確かにアナタは彼らに接触すらしていない。でも、偶然かもしれないけど……噂を辿って、話を辿っていくと…守屋くん、アナタに辿り着くの」

守屋「どうやって辿ったのか方法が気になるな」

家厨「それは……きっかけは思い付きよ。犯人は分かった、けど動機が薄いと感じたの。その薄さが気になったの」

守屋「薄い、か」

家厨「なんで薄いのか調べて、辿っていくと必ず守屋くんがいた」

守屋「だから俺が真犯人?」

家厨「ええ、言い掛かりだって言われても仕方ないわ。でも、アナタが怪しいって思いが拭えない。だから話を聞かせてもらったわ」

守屋「じゃあ、その疑いは払拭できたかな?」

家厨「はっきり言うと、より疑いは深まったわ」

守屋「そっかぁ、残念」

家厨「アナタが犯人じゃないなら、知恵を貸して!私のワトソンになっ」

守屋「真犯人なんて居なかった!それで良いんじゃない?」

家厨「いいえ、それじゃ私は私を納得させられない!」

守屋「…………」

家厨「…………」

守屋「ふぅ~~……」

家厨「呆れてる、よね」

守屋「いやはや……凄いね、その執念深さは」

家厨「執念深い、かな」

守屋「ああ、恐ろしいよ」

家厨「恐ろしいって、ひどくない?」

守屋「だって、此処オレまで辿り着けるなんて思わなかったからさ!ほんとに君は名探偵だね!」

家厨「え?」

守屋「そう、俺が全ての仕掛け人……教授だよ!」

家厨「な、なななな!」

守屋「さて、バレてしまったし逃げ転校しないとな」

家厨「え?転校?」

守屋「まだ捕まるわけにはいかないからな」

家厨「嘘、でしょ?」

守屋「いや、本当さ。そんなに不思議かな?」

家厨「え?だって……アナタが黒幕で、でもまだ証拠も掴んでないのに」

守屋「証拠なんて最初から残してないつもりだよ」

家厨「いきなり転校なんて」

守屋「実は君が俺をマークしてるのは気づいていた」

家厨「なら、なんでここに来たの?」

守屋「そりゃ、美少女からのお誘いは断れないだろ?」

家厨「美少女って///」

守屋「さて、次は何処に行こうかな」

家厨「待って!行かないで!!」

守屋「そんなに俺を裁きたいのか?」

家厨「違っ…わないけど!そうじゃなくて、まだ行かないで」

守屋「なんで?」

家厨「私はまだ何もわかってない。アナタがどうやって人を動かしたのか」

守屋「それは企業秘密だよ」

家厨「ええ、だからそれを知るまで転校なんてされたら困るの!」

守屋「身勝手な言い分だ」

家厨「…………」

守屋「でも、嫌いじゃない。いいよ、そこまで言うなら転校は見送ってあげよう」

家厨「じゃあ」

守屋「ああ、これからも探偵ごっこ頑張ってくれよ?」

家厨「負けないわ!絶対にアナタの秘密を暴いてみせるんだから!」

守屋「ハハハハハ!楽しみだな?卒業まで精々頑張ってくれ」

家厨「一つ賭けをしましょう。私がアナタの秘密を暴けたらアナタには私のいう事を聞いてもらうわ」

守屋「ふむ、なら暴けなかったら俺の彼女になってもらおうか。末永くよろしく頼むよ」

家厨「か、かかか彼女⁉なんで⁉」

守屋「君ほど可愛い名探偵は中々居ないからね。生涯のパートナーにと思ったんだ」

家厨「しょしょしょしょ生涯の…パートナー……」

守屋「さ~て、楽しみだな」

家厨「……パートナー……生涯の…パートナー……」

守屋「それじゃ、明日から頑張ってね。好敵手ライバル

家厨「え?うん。…て、明日から⁉まさか既に何か仕掛けて⁉」

守屋「それは明日になってからのおっ楽しみ~」




家厨「……絶対に勝ってアナタを私のパートナーにするんだから」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美少女名探偵に屋上へ呼び出されました⁉ もえすとろ @moestro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ