君と出会った後悔の果てに
@paruharu
第1話 昔々....
「みーずーきっ」
「どうしたの?」
「いっしょにおそとであそぼ!」
「うん!いまいくねー!」
瑞希が重たいドアを開けてこちらに走ってきた。無邪気な笑顔を見せる君に僕は知らずのうちに恋に落ちていたんだ。
「ねーねーなにしてあそぶの?」
「んー…ゆきだるまつくる!」
「えーそんなのつまんないよ。ゆきなげしようよ!」
「いやだよ。つめたいし、けがしたらままにおこられちゃう。」
「じゃあいいもん!ほかのことあそぶから!」
僕はしぶしぶ雪投げをすることにした。でもこの選択が間違っているなんて小さい頃の僕は思いもしなかった。
「えいっ」
瑞希が雪の塊をものすごいスピードで投げてきた。幼いころの僕にとっては、それはそれは恐ろしいスピードでこいつは大〇翔平なのか?と真剣に悩んだ。そんなことを考えさせる暇もなく瑞希は次から次へと雪の塊を投げてきた。
「やったな~」
僕も反撃を試みた。力いっぱい雪を握って雪玉を作った。
「ここまでとばせるもんなならとばしてみろ!」
瑞希は挑発してきた。むかついた。これでも僕は男の子だ。盾の替わりに立てていたそりの前に立ち、手を広げて「やーいやーい」と挑発している奴が女の子だとしても、好きな子だとしても…女子に手加減ができるほど僕はできている人間ではない。「えいっ」
力いっぱい雪玉を投げた。雪の玉は現在の少子化のグラフのように急下降を見せた。遠くのほうで瑞希が笑っている。否、腹を抱えて涙を流しながら過呼吸気味になっている。恥だ。人生の汚点だ。めちゃくそ恥ずかしい。遠くのほうから声が聞こえてきた。
「こうた!!いまおまえのかおまっかだぞ!しろいごはんのうえにうめぼしがいっこのっかってるみたいだ~!!」
なんて言ってまだ笑っている。むかつくけど何にも反論できない。だって、力が弱いのは事実だし、反論したら瑞希の剛速球が顔面にクリーンヒットしかねないから。この時後悔をした。
「ゆきだるまつくってればよかったな…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます