第10話 2人の約束
「日本に帰ってきてたなら、連絡して下され
ばいいのに」
「ついさっき帰ってきたばかりでね。
んーっ、やっぱ日本食に限るね〜」
弁当の筑前煮を頬張り子供のように目を輝かせる生駒
(……そういう所は昔から相変わらずです
ね)
「ん、どうしたの?」
「え?いや、別に……
ところで、次はどこに行ってたんです
か?」
「ちょっくらアメリカの方に」
「アメリカに何しに行ってたんです?」
「んー、色々とね」
生田の話よりも目の前の弁当を頬張ることに夢中な様子だ。
「……そんなに日本食が恋しいなら、また戻って来て下さいよ」
「……んーっ」
生田の言葉に対しての迷いか、それとも次はどのおかずを食べようかの迷いか。
「……ところで、みんな元気?」
「ええ、相変わらず
お会いになりますか?」
「……いや、今は遠慮しとくよ
私がいる事も内緒にしといて」
「そうですか……」
また戻ってきて下さい。
その言葉に対する答えだと生田は感じた。
「あ、でも今日のライブは見させてね。
楽しみにしてるよ」
「もちろん、是非見ていって下さい」
「ふふっ、頼もしいね。
生田マネージャー」
「からかわないで下さいよ。
生駒プロデューサー」
そう言うと、2人して笑いあった。
(いつぶりだっけ、こうして2人だけで笑いあ
ったのは)
昔は、いつまでも続くと思ってたこの関係。
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満点の星空‘‘Starry Sky’’なんてどうよ?
綺麗で、明るい夜空
Starry Sky か……良いですね
暗い夜空を照らせるような、星のように可愛い子を集めないとな
集まるといいですね
—————————————————
昔の事をふと思い出した時、生田の携帯が震えていることに気づいた。
「あ、すいません……ちょっと失礼」
画面に表示された名前を見る
(あ……ずいぶんと忘れてた)
「もしもし、祐希さん
すいません、すぐそちらに
……えっ?黒いカバンを飛鳥と未央奈が探
してる?
あれなら、楽屋に届けといたはずですけど……
ていうか、なんでその2人とご一緒に?
とにかくすぐそちらに向かいますから
絶対にその場を動かないで下さいね」
電話を切ると、生駒が不思議そうに生田を見ていた。
「誰なの?」
「あ、祐希さんです。色々あって今日のライ
ブに招待してるんです」
生田は生駒に今までの経緯を説明した。
西野麻衣を助けたこと、彼女の提案で今回のライブに招待をしたこと。
「へー、そんなことがあったの」
「えぇ、まあ
あ、とりあえず失礼しますね
すぐに向かわないと」
「おう、じゃあまたな」
へー、面白そうじゃん
生田が出た後の部屋で、生駒はそう呟くと
残りの筑前煮を口に放り込んだ。
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