貴方に勝てたら伝えます

黒猫

第1話 もしも私が勝てたなら

すいくん、もしも私がテストで1教科選択したもので勝ったら話を聞いてもらってもいい?」


「勝てたらね…」


私、華原美沙かはらみさは坂井才君の事が好きだ。

才君は、誰と話すでもなく本を読むか勉強をしている。

何人もの女子が告白して、撃沈していった。


曰く、「恋愛とか興味ないから…」

曰く、手紙で呼び出そうとしたら来なかったとか。


「才君ってモテるのになんでそんなに素っ気ないの?」


「告白とかあんまりいい思い出がないんだ…

本当に…」


闇が深そうだからなかなか踏み込む事が出来ない。


「それより、何の教科で勝負するの?」

「そうだね〜、数学でどう?」

「わかった。俺が勝ったら話を聞いてくれ」


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こんな素っ気ない俺に話しかけて来てくれる女子がいた。

華原美沙さん…。今まで俺は、他人から距離を置いていた。

小中と女子に告白されまくり、その結果男子からいじめを受ける。

女子からは、人でなしと罵られることも多々あった。


だから、俺は人と関わることを辞めたはずだった…

それなのに彼女は周りとは違う気がした。

できることなら付き合いたいと思うが、スクールカーストの上位に位置してる彼女に告白しては、迷惑がかかってしまうから諦めようとしていた。

そんな時、彼女から勝負を挑まれた。

テストで1教科選択してそれで勝てたら話を聞くというものだった。


不安だ。何を聞かされるのか…。

いや、俺が勝てばいいのか。


思いを伝えるため俺も数学を必死に勉強することにした。


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「そういえば…、才君ってテストの順位何位なの?」


「一応、一位だけど…」


「ほんと!?何が苦手なの…」

幸先が不安になってきた。


「数学が苦手なんだよね…」

よ、よかったー。

数学が得意な方なので数学に専念すれば勝てるかもしれない。



「そっかー。お互い頑張ろうね」

わたしは、座席に戻り必死に勉強をした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「才君、何点だった?」

「96点…」

アレ…?今回のテスト難しく作ったって先生言ってたのに96?苦手なんじゃないの?


「そ、そっか…」

「それで何点だったの?」

「は、89点…」

元々、70点台だった私が80台まで行けたがやはり勝てなかった。


私は、席に戻ろうとしたが声がかかった。

「ちょっと…?俺が勝ったら俺の話を聞くって約束だったでしょ?」


そうだった…

どうせもう、関わらないでくれとかそういった事だろう…


「俺と、付き合って下さい…」


「………………?」


「あ、あのー返事は?」


えっ?付き合って下さい?本当に?

「よ、よろしくお願いします」


翌日から、氷の王がデレたと噂になり私に質問が凄くきていたところ庇うように連れ去ってくれた…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

良かった。一世一代の告白が成功して。


氷の王がデレたなどという噂が広まっていたが気にしない。


「あっ…」

美沙さんが、困ってる…


そう思った瞬間に体が動いていた。

「行くよ…」

美沙さんを連れ去りその場から離れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そのまま高校3年大学と、付き合い続け大学卒業後結婚をした。


今では2人の子供に囲まれ、幸せな家庭を築いている。


「お父さんさん。お父さんって氷の王って言われてたの?」

「そうだけど、誰から聞いたんだ?」

「おかーさんが言ってたー」


ハハハ…全く。

「氷を溶かしてくれたのがお母さんだったんだよ。光希もそんな人に出会えるといいな」

「うん!!」


「お母さん、愛してるよ」

「私もよ、お父さん」




Fin

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