パートナーとの対話
業魔とは人生を見つけ定めた者にのみ許される技。
今、俺は俺であるべき姿になる為にファニとチェシル、そしてレイと会話をする。
「いくぜ相棒!」
「うん主人!」
「ええ、ご存分に。」
「真相。」
俺は拳を振るう、父さんから教えられた最適なタイミングで関節に力を込める。
俺がその先の領域に辿り着くまで
ファニは俺に向かって螺旋起動の体当たりをかましてくる。
ならばこちらは正拳突きをキャンセルし前に行く重心に合わせ膝の肘鉄を合わせた変則カウロイでファニを捕らえにかかる。
ファニもただでやられるわけでなく変則カウロイが決まる前に膝を打ち顎に目掛けてくる。
首を捻りかわしつつある左手でファニを掴み取り力の量をそのままにベクトルのみを変えチェシル向かって投げつける。
チェシルは触手を伸ばしてファニを綺麗にキャッチ、続け様にレイが水弾を放つ。
(必殺か、ならばこちらも返すまで!)
ロレンはレイの技を受けた途端に倒れ込むように地面に激突した。そしてレイに拳を向けた。
「何故?」
レイは疑問に思いつつもさらに水弾を撃つ。
俺はそれを受けきる前に心臓などの臓器を止めた。必殺の一撃はあくまでも必殺でしかない。だからこそ俺は一度死ねばいいそう考えて死んでから身体を動かすように脊髄に語りかけた。
心臓は再び動き出す。脳は破壊されたところから継ぎ合せ線を通す。地面に倒れることで運動エネルギーを複雑化させ残った細胞を叩き起こす。
「まだまだだぜ!」
レイに向かい擦るように手刀を抜刀する。
「戦闘脳?」
ゲーム脳という言葉がある。軍人のような常時興奮状態、現実への反映から危険視されているが生物的には何ら不思議ではない。狩るか狩られるかを永遠に考えなければ自然では生きられないのだから。
それを昇華させた時反射神経においてプログラミングが行われる。脳が常に最悪の場合を想定し想像し続けることで身体にまで影響し予知夢、突発的反射行動といった形で見られることがある。この場合の予知夢とは予知夢であってそうで無い。幾千から取り出した夢の中に偶々あったに過ぎないのだから。
突発的反射行動に置いては夢から得られた予想からどのような行動をするよう必然的に行動させるからだ。
ロレンはその領域にまで昇華させたことにレイは気付いた。
「お前の主人でもあるんだぜ、俺は。」
「真相。」
レイもまたロレンに応えるように水の激流を放った。
その水の流れは無限の通りを持った力の本流。
「そいつを防げたら面白そうだぜ。」
俺は敢えて立ち向かう。微細な力の観点からより小さい力を連動させ水を真っ直ぐに整えさせるように繊細で豪胆な方法を直感で行えそれが生きる道と信じて。
それを踏破した時、一つの達成感を垣間見る。
「凄い。」
「抜かせ、まだレイは本気じゃないだろう。」
レイはそれでも驚いていた。すると今度は全方向から木の根が生えてきた。
「主人、こちらも行きますよ。」
「おいおい、もうしてるだろうに。」
木の根を出す空間の歪みに飛び込み避けたがチェシルは追いかけさせるように操作する。
それを避けながらチェシルに攻撃を加えようとするが樹木に阻まれる。それがわかるとすぐさま離脱する。
(制空圏から離れはしたが範囲が広いな。)
俺はチェシルの小回りの効く範囲から逃れこそしたがその攻撃の多さから守れないと判断する。
最小限の動きと後の先を見極めながら避け時に攻撃する。
「[最小魔王]いや[極限解放・無限魔王]だ。」
リミッターをファニとチェシルを抜きにして外した。
そして同時に脳の制御は無くなった身体は反射神経及び戦闘脳の奴隷と化す。
「・・・。」
「・・・。」
「無謀。」
そう俺がやるのは無謀の極みでありこれで勝てたは儲け物。そして生きていたら奇跡と言うくらいには可能性が低い賭けだ。
ある一定の戦闘領域では思考の加速と身体の制御が何よりも優先される。それら完全に放棄することはどの分野においても危険な領域だ。理性による制御を全て失ったものは野生とは呼べない。
人はそれを原生と呼んだ。
全ての細胞がバラバラになるか一つに纏まるのか。
それはスライムだからこそ制御できた代物。ロレンはそれをモノにしようとした。
結果は
「グフォ!」
惨敗だ。
だが
「一瞬は掴めたかな。」
ロレンの肉体は全身から血を流しながらもバラバラにならず存在をしていた。それは崩壊する身体に脳を用いずにブレーキを掛けられたことを意味した。
「真相、到達。」
「え、レイ?」
「レイ、主人はこの修行を達成できたのですか?」
ファニとチェシルがレイに詰め寄る。
「想像、超越。」
「レイ、ありがとう。[
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます