それは天空から、ガラクタ王子と量産系少女

秋天

《プロローグ・量産系少女》

蒼穹ソラ、お前はもう……量産系女子りょうさんけいじょしなんかじゃない』


 目の前の王子がそう告げる。

 機械きかいだったり生身なまみだったり、悪ふざけみたいなキミの身体からだ

 彼は王子。それは天空そらから落ちて来た。


 彼の背後の山には、

 巨大な鳥みたいな機界騎士アゥエスがこちらを睨め付ける。

《アゥエス》とはいわゆるロボット……彼等の世界でのロボットの総称だ。

 彼は天空のどこかにある世界の王子だと言う。


 王子ってなんだ?ロボット?それは《非日常トンデモ》だ。

 彼に逢って、そんな馬鹿な、で回っていたあたしの日常トンデモは、

 あのアゥエスに『』ぱくっと終わるんだそうだ。

 って何だろう。


 王子は続ける。

『オレはこのままでは本当にガラクタだ……』

 哀しいんだね……あたしは、哀しいのに泣けなかったんだ。


『……でも、だからこそこのまま、

 何者にもなれずに……ちてゆくのだけは……』

 

だから王子の《アゥエス》に

 彼はそう言うのだ。


 王子の《アゥエス》は美しい城の様に勇壮ゆうそうたたずんでいる。

 ……このまま哀しんでいたらダメなのだろうか。

 なんでさ、こんな想い出の公園でを思い出させられて

 ロボットを動かせって……って言うんだ。


 鴻 蒼穹おおとり そらはただの女子高生で、

 プラモが好きで、雲を眺めているだけで幸せで、

 この地方都市で一生を終えると思ってた十七歳の端役ただの女の子


 これは《端役はやく》が《主人公しゅじんこう》になる物語。

 現実を見るための、あたし達が《つくる》物語。


 あたしはきっとアイツの手をとり立ち上がる。

 だって……あたしはもう、だって、目線を反らさない。

 

さぁ、勇気をもって世界に手を伸ばそう。


 その握った先が、あの結末になったとしても……あたしは。


 あたしの心だけは……きっと……



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