空を見上げるのは
地の中の蛙
何度目ですか
「空を見上げるのは 何度目ですか」
頭蓋骨の中にいる 髪の長い女が言う
「空を見上げるのは 何度目ですか」
繊細ではっきりとした声
「同じ空は ふたつとないのに
それを 空 としか表現できないのは
もったいないと 思いませんか」
黒い瞳に光の粒 動く唇は薄い
「綺麗だと 思ったはずの あの空を
きっとあなたは もう吐き出せない」
表情は 哀に傾いた無だ
「見えた空に 言葉を詰めたら
その空は もう死なない」
白い二本の 素足
「人間の記憶は いつか死んでしまう
せっかく見つけた空も
背を向けた瞬間に 真っ白になる」
「表現を 忘れないで
その空を 忘れないために」
「もっと空に 憧れて」
肩から先は 白い翼
俺は うるさいだまれ と 声に出した
「空を見上げるのは 何度目ですか」
見上げた空は 真っ白だった
空を見上げるのは 地の中の蛙 @chi_kawazu
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