黒い炎

 「黒い炎」とは北方の小国であるG国に拠点を持つ、非合法組織である。影であらゆる依頼を請け負う、その実態は犯罪組織に近いものがある。

 暗殺・スパイ活動・要人警護・破壊活動・傭兵派遣・武器取引までするが、ただし麻薬と奴隷は取り扱わず、一般人にも手は出さない。

 民間軍事会社(PMC)や兵器メーカーという表の顔を持っているが、それは仮の姿にすぎない。


 しかし、ただの犯罪組織というわけでもない。黒い炎の真の姿は、同じく非合法組織を狙う同業者狩りである。

 非合法な活動をしているものは、会社だろうが国だろうが、何でも狩りの対象になる。黒い炎は組織名のとおり、闇に潜むものを闇に葬る炎なのだ。構成員は黒尽くめの戦闘服に身を包み、闇を駆ける。


 本部は表向きは都市の郊外に建てられた小さなビルの一つ。その地下にはサッカースタジアム並みの広い面積を持つ施設が地下6階まである。

 各国に支部を持っているが大きな機能はなく、任務を遂行するのはあくまで本部の人員。支部には現地での任務完遂を補助する役目しかない。


 どうしてそんな組織が国内にあるのにG国は動かないのかというと、単純に黒い炎を抑える力がないのだ。

 それはG国以外でも小国はどこも同じような状況である。紛争や戦争の連続で疲弊しており、治安を維持するだけの体力がない。

 だから犯罪組織が幅を利かせて、そのおかげで最低限の秩序が保たれているありさま。


 この組織はマスターと上級エージェント、下級エージェントで構成されている。

 15人のマスターが100人近い上級エージェントを従え、その下には500人程度の下級エージェントがいる。

 コードネームとして、マスターには「アルファベット」が、それ以外のエージェントには「単位」が与えられ、個人名の代わりに呼ばれる。

 見た目でも区別を分かりやすくする為に、上級エージェントは専用のコートを、マスターはさらにマントを着用する。

 黒い炎は全体で600人ほどの小さな組織だが、翌年新たに6人をマスターとして迎えると決定があった。

 6人は全て下級エージェントから抜擢された者たちで、それぞれ異なるマスターの下で約1年の研修期間をすごす。

 最終的にはアルファベットに合わせて26人のマスターを選び、300人の上級エージェントと、3000人の下級エージェントを擁するまで、組織を拡大させる計画だった。

 全てのマスターがその計画に賛同していたわけではなかったが、組織の運営は順調だった。

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