Overhuman
@odan
世界、組織、彼女
地獄への道
世界が平和になれば良いとは誰もが願うことだが、なかなか実現はしない。
だが、多くの国の粘り強い努力によって、それが現実のものになろうとしていた瞬間があった。
新興国と先進国の格差は縮まり、それでもまだいくらかの不平等は残しつつも、人権状況も完全とは言えないまでも改善され、何より紛争や戦争が起こらなくなった。
ここに人類は幸福の時を見たのである。
しかし、それは長くは続かなかった。
ほどなくして水・食料・エネルギー、あらゆる資源の消費が加速して供給が追いつかなくなった。地球は全人類を幸福にするには狭すぎたのだ。
最初から分かっていたことだった。
「人類の英知はあらゆる困難を克服する」――そんな幻想は打ち砕かれ、再び対立が世界をばらばらに分断した。
険しい山ほど登ることは難しく、しかし転がり落ちる時は速やかで致命的である。
抑えていたものがあふれるように世界中で紛争や戦争が勃発して、多くの国は国交を閉ざし、そのためにいっそうの貧困を招いてますます頑迷になる裏で、密輸を行う国際的な非合法組織が活性化した。
負の連鎖は止まるところを知らず、世界は暗い混迷の中、人類の夜明けはまだ来ない。
これはそんな時代の話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます