吉田さんと打ち合わせ

はるき

第1話日常

僕の1日はパソコンの画面を入れるところから始まる。モニターと一体型のそのパソコンはキーボードのエンターキーを押すだけですぐ起動する。いつもと見慣れた画面にもう何度打ったかわからない12文字の英数字のパスワードを打ちこみパソコンが開いた。僕は長くなった前髪を少し大きめの青色のピンで止め、いつものようにメールの確認から始めた。昨日の夜も寝る前にメールを見ていたから履歴の最初にメールがあったからすぐに押せるようになっている。このパソコンもそろそろ寿命なのか最近動作がもたつくことが多々ある。僕はそれに少しイライラしながらも画面が変わるのを待った。これならスマホの方が早いかもしれない。そう思った矢先、メール画面に変わった。新着のメールが16件もある。そのうち15件はただの迷惑メールやセールの告知だった。だが一件のメールは違った

件名 明日の打ち合わせについて

ハルカさん!

明日、13時から打ち合わせしたいのでいつものところに来てください!

吉田より

僕はすぐパソコンの横にある置き型のデジタル時計を見た。デジタル時計には12時40分と書いてある。

ーあと20分しかないじゃねぇか!ー

瞬間、僕はパソコンの電源も消さずにすぐさま洗面所に向かった。洗面所はパソコンのある部屋を出て突き当たりを右に出たところにある。僕はそこで顔を水でざっと洗い、寝癖が酷かったので慌てて髪を水で濡らした。もう髪を乾かす時間もないと思い歯ブラシのとなりにあるワックスで一気に髪を上げた。濡れてる髪にはワックスでガッと髪を上げた方がカッコいい。

鏡にはどっかのエリート会社員のような髪型をした男がいた。顔の方は垂れ下がった目に低い鼻、口髭が多く顎にも髭がある。

ー髭も剃らなきゃいけねーなー

そう思い、カミソリのある風呂場に向かったポディーソープやシャンプーが置いてある台の上に置いてあるT字型のカミソリと剃るための泡の入った容器も一緒に手に取り、急いで髭を剃った。久々に髭を剃ったのと急ぎあって少々顎の方がヒリヒリした。パソコンのあるリビングに戻り、デジタル時計を見ると12時54分と書いてある。

ーやべ、もう時間ねーわー

と諦めて僕はスマホを探した。吉田さんには悪いが少し遅れると連絡しようと。だごこいう時に限ってなかなかスマホが見つからないパソコンの真横に付いてるベッドを探してもなかなか見つからないスマホ捜索を初めて5分が経った。

ーブー、ブー、ブー、ブー ー

ベッドの下の方から聞き慣れた振動音が聞こえてきた。慌ててベッドの下を見ると埃や読みかけの雑誌などがある中光を放つ長方形の板があった。床に寝そべる状態でベッドの下に手を伸ばした。

ーあと、もうちょいで...ー

中指の先にスマホが当たるあともう少し、グリャー!と気合いで手伸ばしスマホを取った。画面には吉田さんからの着信があったとの通知が来ていた。急いで4桁のパスコードを打ち電話のアプリを開いた。履歴からすぐ吉田さんに電話を掛けるとすぐに出た。瞬間今時のスマホが音割れするほどの馬鹿でかい声で

「はるかさん!なにしてんですかぁ!早くいつものカフェに来てください!家のすぐ下なんですから急いで来てください!」

スマホで音割れなんて久しぶりに聞いたよ。

ーそんなことより早く行かなきゃ!ー

窓に干してあったパーカーを手に取り、羽織ったら急いで玄関まで走っていった。玄関にある散らばってる靴やサンダルの中から足の甲のほうに丸い穴がいっぱい空いてあるあの有名なサンダルを履いて玄関を開けた。この家は下の階が喫茶店ポミエになっていて上がアパートになっている。アパートといっても僕と喫茶店のマスター兼大家さんの2つの部屋しかないのだが。慌てて階段を下り、店前の窓ガラスに喫茶店ポミエと昔の古い感じの喫茶店だ。ポミエのドアを開けるとカランカランと懐かしの音が鳴った。マスターが「おはよう。はるかさん」

とマスターはいつものにこやかな笑顔で言った。

「あ、おはよっす」

マスターは60手前の女性で長く綺麗な白髪を後ろに束ね、色白の肌に黒色の淵のメガネをかけていて綺麗にアイロンされてるタキシードを着ている。

「吉田さん来てますよね?」

僕が恐れ恐れ聞くとマスターは挨拶の時と同じ笑顔で

「いますよ。だいぶ怒ってましたよ。何回遅刻するんですか」

「はは、ほんとすんません」

「もう、私に謝らないで早く吉田さんのとこに行きなさい。いつもの席にいるから」

マスターは本当に優しい。小走りでいつも打ち合わせのしてる一番奥の端っこの席のほうに行った。そこには眉間に皺を寄せ、鬼の形相の顔をした吉田さんが座っていた。吉田さんは今時の若い女性とは違い、できる風のキャリアウーマンで働くのに邪魔だと髪をずっとショートにしている。本当は綺麗なのに仕事大好きのせいか最低限のメークしかせず浮ついた話もない。吉田さんは僕の顔を見るやすぐ

「はるかさん!今回で打ち合わせ何回遅刻してんですか!午前じゃ、起きれないってゆうからわざわざ午後にしたんじゃないですか!」

ー今日で30回目の遅刻だよー

と心で思ったが吉田さんの怒りは記念すべき30回目にふさわしい怒りの頂点に達している。これはあの必殺技を使うしかないと思い、僕はマスターの方を向き

「マスター!吉田さんにデラックスミラクルスーパーパフェをお願いします!」

するとマスターはニヤッとして

「ラジャ」

とだけいってパフェの製作に取り掛かった。吉田さんは大の甘党。唯一の可愛いポイントである。吉田さんは驚いたような表情をしていた。当たり前だなぜならこのデラックスミラクルスーパーパフェというのは実際にメニューにはないのだからメニューにはデラックスミラクルパフェまでしか載っていない。これにスーパーが付いているのはこの店の常連のみしか知らない特別なメニューなのだから。

「吉田さん、本当に申し訳ないです」

椅子に座り、顔の前で手を合わせて謝罪した。すると店の奥からマスターが超特大の皿を持ってきた。テーブルに置くとその特大の皿の全貌があらわになった。真ん中には大きなプリンにホイップクリームがこれぞとばかりか乗っている。さらには周りには色とりどりのフルーツがたくさん乗っている。デラックスミラクルパフェとなにが違うのかそれプリンの真ん中にアイスクリームが三段で乗っているのだ。これには吉田さんも驚いたのか

「あ、あぁ。」

と興奮を抑えられないでいると見られる。それを見た僕は

「これは僕からの謝罪の気持ちを表したものです。ぜひご賞味あれ」

そう言った瞬間吉田さんの目つきが変わった。大食いタレントの目だ、あれはみるみるうちになくなっていくパフェは爽快であった。あんなにあったパフェもスイーツ大好き吉田さんにとっては5分もしないうちに食べられてしまったのだ。吉田さんは食べ終わると

「マスター、お粗末様でした。コーヒーおかわりもらえません?」

とマスターはお辞儀をし、コーヒーを足しにきた。コーヒー足してる最中僕の方を見てウィンクをしてきた。僕は心でナイスと手でグッとを表した。

「では、予定よりも30分も遅れましたが、これから打ち合わせを始めましょう。」

吉田さんの怒りはどこかへ飛んでいったようだ。さぁこれでようやく打ち合わせが始まりますがまず私がなんの仕事をしているのか気になると思いますが...え、んなことより吉田さんをもっと出せって?いやいやちょっと待ってください、吉田さんのことも僕の仕事についても次の話で喋りますのでまたいつか逢いましょう。


「では、打ち合わせを始めましょう。はるかさん」

すると吉田さんはかばんから何枚かの紙がクリップに止まってる紙の束を出してきた。紙の表紙には「集え!新人賞開催!審査員にはあの方も!」と書いてあった。

「なんですかこのひと昔前のキャッチコピー」

「来月から新しい新人賞をやるのですがその審査員にはるかさんが選ばれたんです」

ほほう、なるほど確かにもう小説も何十本と出してきたがとうとうこいうのが来たのか。

そう思うとなんだか新人の頃がとても懐かしく思えた。そう、あれは高校2年生のなt…

「勝手に過去編に行こうとしてませんか?」

吉田さんが割ってきた。

「えー、いいじゃないですか過去編やりましょうよ」

「いやまだ3000文字ぐらいしか書かれてないのにいきなり過去編っておかしくない?漫画で行ったら2話目でいきなり過去編だよ」

確かにそれはつまらないな。つまらないといえば、高校2年生の夏に持ち込んだときはボロクソに言われたな

ーあ、これもう勝手に行くやつだー(吉田さん)

高校2年生の僕はとても可愛らしかった。

「はい、まってはるかさん、どこが可愛らしかったんですかあの頃が」

外野がうるさいがほっとこう。僕は夏休みの最終日に約一年かけて書いた小説「テンペストオブレジェンド」を持ち込みに行ったのだ。

その時の担当も吉田さんだった。

「私の初めての持ち込みしてきた人だったんですよ」

へぇーだからあのときは若々し刈ったのk…

「ん?なんか言いました?」

いえ、何でも(顔に拳がめり込んでいた)

まぁ、最初そんな中二病前回のタイトルの小説を持っていったんだがまぁ内容も中二病をだいぶこじらせたやつだった。

「あぁーあれはだいぶひどかったですよね

我が刻印に刻まれる百の悪魔の魂を救済に行く為300年の旅を続けいる

確か書き出しこんな感じでしたよね?」

ん、すごい恥ずかしい。そんなこと僕は書いてたんだ。んでまぁ頭も中間よりちょっと悪かったし中二病だし高2だしでいろいろと拙い作品ではあったが自分にとって初めてちゃんと最後まで書いた小説だから結構気に入っていた。だが、あの最低野郎吉田はそんな僕の気持ちも知らずにあれよあれよとダメ出しをしてきた。

「いや、まぁ...はい」

もう最後あたりは泣きそうになってきてずっと下向いてたら吉田さんが僕に名刺に連絡先書いて渡してくれたんですよ

ー文書は汚いけど想像力はすごいあると思うから今言ったことを踏まえて別作品書いたら持ってきてー

ってあのときの吉田さんの笑顔は過去1で可愛かったのを今でも覚えてます。

「なんだよ 照れますね」

んでまぁ授業中とかも一日中ずっと書いて書いて書いて今みたいになったと

「終わらすのざつか!」

いや、もうこの先のこと思いつかないし

「それは作者のことじゃないよね記憶が思い出せないってことだよね」

まぁ、手なわけでぷち過去編終了です。ちょっと前回に比べて短いですがまた次の話でお会いしましょう!


前章のあらすじ!

このお話の主人公兼小説家の僕は自分家の下にある喫茶店ポミエで吉田さんと打ち合わせを始めるもさっそく過去編へと突入するやとすぐに終わってしまう。さっそくネタ切れなのかただ眠くて書くのをやめたのか真実は作者のもとに永久に迷宮入りしてしまったのであった。

「で、吉田さんなんの話でしたっけ?」

「いや、その前のあらすじはなに?」

「ん、あーあれ気にしないでください」

ニコッと笑って返すと吉田さんは不気味そうに本題に戻った。

「はるかさんには新人賞の特別審査員をして欲しいんです。」

「僕が何千作品も、読まなきゃいけないんですか」

内の出版社は出版業界でも一二を争うトップ社だそこの新人賞なんて毎回何千との作品が来ると聞く流石に僕でも何千作品を一人で読むのは不可能だ。

「いえ、我々編集者が10本まで厳選してその中から賞を選んでいただきたいのです。」

ーあーそれならできるはー

ほーとうなずきながらテーブルに置いてある資料の束をペラペラとめくると今までの審査員の名前があった。「芋合併物語」の作者の水浜沈無先生や、「やっこさんいらっしゃい」の用区曽先生までもいる。自分がそんな大先生たちのやってきたものに参加できるなんてとても光栄に思えてきた。だがここで少し不可解なことを思った。

「なんで、僕なんですか?」

「ん?」

首をかしげる吉田さん。サラサラのショートヘアがふぁさと音を立てそうだ

「確かに作家としてそれなりにやってきましたが別にベストセラーとかも取ったことないしなんで僕が審査員なんですか?」

あぁーと吉田さんは納得したような顔をした。すると吉田さんはコーヒーを一口飲み

「確かにはるかさんの書くものはどれもパッとせずかと言って全く売れてないというわけでもなくビミョーな感じでずるずると来たんですけど」

かわいい顔して結構心に刺さることを行ってくるのが吉田さんだ。

「んで、最初は芋合併物語の水浜沈無先生にやってもらおうと思ったんですが先生新作の取材でいまアラスカに行ってて」

取材旅行、一回も行ったことがない

「じゃあやっこさんいらっしゃいの用区曽先生にお願いしようとしたのですが先生来月で作家20周年なんでそんときに審査員をさせようとなって」

僕だって今月で5年目だよ

「んで、はるかさんにやらせて見ればなんか彼にもいいんじゃないって編集長が」

適当かよ編集長…まぁベストセラーを出せない自分のせいでもあるんだが、だが編集長が新人のフレッシュな作品を読めばなにか閃くかもしれない。

「僕、やります。やらせてください!」

バッと立ち上がって吉田さんに言った。吉田さんは少し驚いたがすぐにかばんの中からまた紙の束を出した。次はクリップで止まってるのが10個ある。

「はい、ということで10個持ってきましたので明後日までに全部読んで評価してください」

え、

「これ、評価表です。ちゃんと全員分に点数と感想と課題点を書いてください。」

評価表を10枚分もらった。

「では今日の打ち合わせはこれで終わりでので次は明後日のこの時間でお願いします。」

と言って吉田さんはその場を後にした。

改めて紙の束を見ると結構な量がある。数にしてざっと原稿用紙4000枚はあるんじゃないか。これを2日で読んで感想を書けなんて相当キツイ。すると奥からマスターがチーズケーキを持ってきてくれた。

「マスター…」

僕が振り向くとマスター「ぐっトラック」とまたぐっとマークをしてどこかへ消えてしまった。よし、とりあえず頑張ろう。そう思いチーズケーキを食べた。

ー2日後

終わった、なんとか10本全部読み終えて感想も書き終えたぞ。いやぁそれにしてもなかなかの曲者揃いだったが面白かったなぁ時計を見るとまだ打ち合わせの時間までと3時間もある。よし、一眠りしようそう思いベッドに寝転がった。

起きるとなんとまだ12時だ。これは珍しい、そう思い早めに喫茶店ポミエに行こうと準備を始めた。今回はあまり急いでなかったので髪もいつも通りの髪型にした。いつものように天然パーマを活かした髪型といえばいいのか。小学生の頃は髪がくるくるでよく友達からいじめられていた。他にも天然パーマはいたにはいたが俺のはその中でもひどかった。前髪はいつも右か左を向いている。その向きはどれもばらばらで当時は本当に嫌だった。中学生になり、一回ストレートパーマをかけてみた。これで自分も憧れの髪型を手に入れたと思った。だが現実はそうではなかった。奇妙に真っ直ぐすぎたの床屋にいるときは美容師の力量によりそれとなくいい感じに見えたがお風呂でワックスを洗い流し乾かしてみるととても可笑しく奇妙にその前髪が見えた。僕はつぎの日学校行くのが嫌になってきた。だが親はそれを許してくれなかった。当たり前だ髪型が変で学校にいきたくないだとそんなことを許す親はそうそういない。嫌で登校時間ギリギリに行くことにした。教室に入った瞬間僕のその時の一番の親友であった子が「おぉー、はるか遅かっ…」一瞬の沈黙の後笑いが起きた。

「なんだ、お前のその髪型。うひゃひゃひゃ」

この子の笑い方はちょっと独特だった。そんな独特の笑い声を聞きつけて近くのクラスメイト達も何だ何だと近寄ってきては僕の髪型を見て笑った。笑いが笑いを誘い教室中が笑いに包まれた。その瞬間、鐘の音とともに先生がドアを開けた「おーい、朝から騒がしぃぞ」そう言うとクラス1の人気者の子が「せんせーいはるかの髪型が可笑しーの」と、クラス中がまた笑いに包まれた。それから僕はストパーをかけるのをやめた。高校に入ると思春期のおかげかちょっとはこの髪型もいいなと思った。お小遣いがあ入ると自分の髪に合うワックスはないかとよくとんきに友達と行ったものだ。そうやってこの髪型ともわかり合い、一度も色を染めずにここまで来た。そして今、そんな天パの髪に一番良く合うワックスを付けなんかいい感じになったと自分で納得して福を選びに行った。前みたいにそのへんにあった服を羽織るのではなくちゃんとした服を選ぶことにした。それぐらい時間に余裕があったのだ髪を整えてもまだ50分も、時間が余っていた。ポミエに行くまでなんて1分も掛からないだから僕は服選びに時間を割いた。そして今の季節に合うオシャレだと思う自分の服を選んだ。下は赤のチェックのちのパンに上はピンクのシャツに緑色のカーディガンを羽織ったものだ。自分はとても奇抜でオシャレだと思った。時計を見るとまだ12時30分だった

そういえば今日は起きてから一回も食事をしてなかった。ポミエでなにか軽いものでも食べようと山田さんとの打ち合わせに必要なものをまとめた。ちょっと大きな手提げのバックに10人の新人による血と汗によって生み出された小説とそれに関する僕の個人的な意見をまとめた紙を一緒に入れ下のポミエに向かった。ポミエに入ると店のマスターが少し目を見開いて「いらっしゃい、今日は早いんだね」とただそれだけ行った「マスター、なにかつまめるものない?」そう僕が聞くとマスターが「そういえば、先日いいカモが手に入ったのでかもそばなんてどうですか?」まぁそばは市販だけどね

と喫茶店らしからぬない商品とマスターの意外な趣味を発見した喜びで「じゃあそれでお願いします。」そう言うとマスターはいつものように手でぐっとマークを作った。10分ぐらいするとマスターがそれっぽい漆塗りのお椀に綺麗に光るものが入っている。よく見るとそれはそばの汁だった。均一に揃ったそばの上には細かく刻んだネギと鴨肉が5切れ並んでいる。僕はそばの汁をまず飲んだ。かもそば特有の甘みが飲んとも言えぬ美味しさがあった。鴨肉を一切れとり、口に運んだ他の鶏肉とはちがう食感の中にある独特の香りが二日間部通して文字ばかりを読み続けていた僕にとって砂漠にあるオアシスのように染み込んでいった。そばは市販のものながらマスターのこだわりがあるのだろう市販とは思えないほどのつるりとしたコシがあり食べごたえがあった。いつもどん兵衛しか食べてないばかりかこの、かもそばがとんでもなく上手く感じてしまい、あっという間に完食してしまった。食べ終わった後になんとも言えない感じになった。久しぶりに食の凄まじさに驚いた。今度はグルメ物でも書こうかと頭に浮かんだ。頭に浮かんだそのアイディアをメモしようとした。僕は毎回気が乗らないと小説を最後までかけない性だった。だから思いついたアイディアはとことんメモし書きたいものを書いた。10個中最後までかけたのが1個あるかないかだ。しかもその中から面白いものなんて数がしれてる。だから僕はいつもメモ帳を肌見放さず毎回持っているそしてこのかもそばの美味しさを伝えるためメモ帳に思ったことを率直にだが分かりやすくなるように慎重に言葉を選びながら書いた。メモ帳に書き終えてメモ帳をしまった瞬間山田さんが来た。

「やぁ、山田さんこんにちは」

僕は多分このとき凄まじくウザいドヤ顔をしてたに違いないなぜならその後僕は山田さんにビンタされることになるからだ。

バチン!

それほど音は響かなかったがとても重い一撃だった。

「何をするんですか吉田さん」

「いや、なんかうざかったから」

それだけ言い残しなにもなかったかのように席についてマスターにコーヒーを頼んだ。

「さ、ちゃんと感想は書いてきましたか?はるかさん。」

「はい、ちゃんと全部読んで書きましたよ。

でもすごいですね。ジャンルは一緒なのにみんなそれぞれの個性というかクセというか一つ一つがとも面白かったですよ」

吉田さんは少し驚いた顔をした。

「はるかさんからそんな言葉が出るなんてやっよかったぁ」

少々癇に障ったが気にしなかった。僕はカバンの中から感想用紙を出して吉田さんに渡した。吉田さんはその用紙をパラパラと読んでいった。毎回思うのだが編集者さん達の読むスピードは恐ろしいほど早い僕が持ち込んだときなんて400文字詰めの原稿用紙を400枚分の長編を持ってきたというのにものの10分で全部読まれたそして前に行った如く散々に言われてしまった。今回の感想用紙なんて一枚に何百文字しか書いてないからササッと全部見終わっただが吉田さんの挙動が少しおかしいいつもなら一回みてすぐに何かしら云うのに今回は何回も確認していた。どうしたんだろうと思うと吉田さんが

「はるかさん、一枚足りないですよ。」

え、そう思い数を数えると確かに一枚足りない。よく見ると僕が1番にした「繰り越し愚弄の与太郎物語」がない、あの独特の言い回しや意外な展開そして与太郎の最後ととても心に残る作品だったのを覚えてるそんな与太郎物語がないなんて

「上から探してきます。」そう言うと吉田さんも

「私も探しに行きます。」

「え、」あの部屋に住んでから一度も女性を家に入れたことがなかった。小説を書き始めてからなぜか女性とお付き合いするのがなくなってしまったのだ。そんな僕の家の始めてをこんな見た目は女性だが中身はゴリラ女の吉田さんを入れるなんで夢には思わなかった。そんなこんなで吉田さんとの感想文探しの旅が始まったのであった。

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