②初めての魔法使い
柔らかなウサギのお耳。
ふわふわしていてなんだか綿菓子を触れているみたい。
「ひぁあ!やっめぇ……あっ」
んんんん!
何か体が熱い!
そしてユキさんの声を聞くたびに、背中が何かぞわぞわする。
でも何となくもふもふを止められない止まらない。もっともふもふしたい。
「ふぁああ……あっ」
……もふもふ。
「やっやえ、そろそろ魔法について教えるからさっユキをモフモフするのはよしてくれ」
あああー!
私、何してたんだろう!
ほんとバカ!
「ああっごめんなさい!」
ラルドさんにこう言われて、急にもふもふの呪いを解かれ正気に戻ると、私はあわててもふもふから手を離した。
「やえのきちくぅー。サイコパスゥゥゥ……ぅうっ」
真っ赤に頬を染め、少し涙目になっている白うさぎが必死の暴言を吐く。ワニに体の皮を剥がれた後の因幡の白兎もこんな感じだったりして。
「じゃあ食堂で魔法使うのは流石にまずいから移動するか!さあ行くぞ!」
「はっはい!」
ラルドさんが大きなドアを片方だけ開け、待っている。そこから漏れだした廊下の光が、装飾にある宝石が私たちに魅せるように彩り始めた。
私も急いで席から離れて、彼のところに行くと、
「あのっユキさん?」
ユキさんが席に座ったまま呆然としているのに気づいた。
何も返事してこないのだけど。
まだ、もふもふ後遺症が残っているのかな?
怒りの原因がユキさんではあれ、私のイライラをもふもふに押し付けて、本当に申し訳ない。
いやでもやっぱり殺された側としては優しい方なんじゃ?
そんなことを考えていると、ラルドさんが口を開いた。
「今から八重と試験室に案内するけど、ユキはどうする?ここで休んでおくか?」
「……あっいっ行く!」
ハッとして意識を取り戻し、ラビットフッドで手早くでていく。
「じゃあまた右に真っ直ぐ」
そう言われるがまま、またステンドグラスの道を進む。
リコさんの信仰、
"この世界の種の形は元を辿れば同種から出来ている。だから多種の多様性を認めなさい。"
という意味への興味と、この窓は神話をモチーフに描かれているのかな?と思い、流し見してみた。
「グリフォン……ヒトとねずみ……あれ?うーんなんだろうこれ?大きな隕石?」
「あーこれはそれぞれの場所でカミサマとされている方々ですよ。
青いグリフォンはクロノクニ、2匹セットはリュウジンノムラ、星はニンギョノマチというところですね」
「あの?リュウジンノムラとニンギョノマチにいる種族は名前の通りだと分かるのですが、クロノクニにはどんな方々が居るのでしょうか?」
そう聞くと、ユキさんは少し耳を垂らし返しにくそうな顔をする。
ラルドさんも苦笑いをして、
「エルフとヒトケモノという種族がいるね」
頬を掻きながらそう言った。
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