2ページ目 何時もと変わらない日常
「シャルー!起きなさーい!」
シャルの名前を呼ぶ声が聞こえる。
聞こえると同時に鉄と鉄がぶつかり合う雑音が聞こえた。
カンカンカン!!
その雑音はシャルの頭に響き、目覚ましの役割を果たしていた。
流石に3分間ずっとこの音を聞き続けるのはキツイから起きることにした。
シャルは頭を掻いて眠たそうな声で言う。
「わかった、分かったから!今起きるよ!!」
シャルの掛け声が聞こえたと同時に、鉄の同士で叩く雑音が止んだ。
眠そうな顔を擦り、あくびをする。
「さて、起きるか…」
そんな眠たそうな顔をしている、彼の名前はシャル=クロア
年は10歳の村の少年である。
そのままシャルは、ベットから起き上がって何時もの服に着替える。
よれよれのシャツに小綺麗な茶色の長ズボンを着る、近くの鏡を見て銀髪の毛を碧い瞳で何処か寝ぐせを探す。
寝ぐせがない事を確認すると心の中でヨシッと言って、1階へと降りていく。
「母さん、おはよう」
「シャル、おはよう、ご飯が出来たわよ」
先ほどのシャルを呼んでいたのは、シャルのお母さんだった。
シャルと同じ銀髪で碧い瞳をしていて、サラっとした綺麗な髪の毛をしていた。
名前はサリア、サリアの両手にはフライパンと鉄のお玉を持っていた。
先ほどの雑音はこのフライパンとお玉を叩いていた音だろう。
サリアは振り返ってシャルの顔を見て、優しい声で言う。
「シャル、今日は目玉焼きとベーコンよ」
「ありがとう、母さんの目玉焼きは好きなんだ。」
シャルはナイフとフォークを持って、目玉焼きの黄身をフォークで割く、ナイフで厚いベーコン切る。
とろりと垂れる卵の黄身に厚切りベーコンに巻き付けつるようにフォークを回転させ、そのまま口の中へ入れる。
「うん、やっぱり美味しい」
「ありがとう、そう言ってくれるといつもがんばれちゃうわ」
サリアも机に座って見つめる、フフッと笑う声を出しながら、シャルの美味しそうに食べる顔を見て嬉しそうに微笑む。
そんなシャルの顔を見ているだけで、今日の原動力が満たされる気がしたサリアだった。
「昨日はよく眠れた?」
そんな二人は何時もの何気ない会話をする。
シャルはサリアのよく眠れた?の質問に対して思う事あるようだった。
「うーん、何だろう変な夢を見た気がしたよ」
「変な夢?」
シャルは昨日の夜に何か懐かしい夢を見たようだ。
同時にその夢は寂しい気持ちなる、だけど肝心の夢の内容が覚えていないという事だった。
サリアはシャルの話を聞いて、不思議な顔で聞いていた。
ふと、壁に掛けてあった時計を見ると8時を回っていた
学校に行く時間だった。
シャルはお皿に残っていた食べ物は一気に食べ、隣に置いてある鞄を肩に掛ける
「母さん、言って来るね」
「いってらっしゃい、気を付けていくんだよ」
「うん」
そう言って、サリアに手を振りそのまま学校へ向かった。
道中は農場や田んぼが見える、周りには緑で生い茂っていて、虫の声が聞こえる。
そんな暑い時期にシャルは細い道を景色を眺めながら歩いて行く。
村の名前はエルダ村、中央都市から離れた北西の辺境にある小さな村である。
シャルはそんな小さな村で自然に囲まれずっと過ごしていた。
「暑い・・・」
蒸し暑さが襲う
シャルの額に流れる汗を拭って、空を見上げる。
壮大に広がる青空は平和を表していた。
しばらく歩いて行くと少し大きめの小屋が見えてくる。
それは、シャルの通う学校だ。
学校は全体的に木材で出来ていて、学校の周りには生徒が植えたであろう花が咲いていた。
黄色い大きな花は太陽の陽ざしに方へと向いていた、不思議な花だった。
花は異世界から流れてきたと言われた花と言われた。
シャルは日に日に大きくなっていくその花の成長を楽しみにしていた。
花の名前は分からないが、こんなにもでかくて綺麗な花なのだから素敵な名前なんだろう。
もし知る機会があればいずれはその名前を探す旅に行きたいと思っていた。
「シャルー!」
後ろから女の子の声が聞こえる。
振り向くと、そこにはブロンド色の長い髪、肌は白く、白いワンピースを着た女の子がシャルに手を振っていた。
彼女の名前はエル、シャルの幼馴染だ。
シャルはエルに気づくと小さく手を振る
「おはよう、エル」
「シャル!おはよ!」
エルは無邪気な笑顔でシャルに挨拶をした。
彼女の笑顔を見ると自然と自分も元気になっていく。
それはシャルだけではなく、周りの人も彼女の笑顔で励まされている。
すると、エルは花の前に立っていたシャルに気づいた。
「また、花をみていたの?」
「あぁ、そうだね」
「いいよね!花!特にこの花を見ると元気を貰える感じがしてて私も好きだよ!」
二人はお互いを見るなり笑いあう。
そんな時、後ろから誰かが走ってくるのが分かる
「遅刻遅刻!!お前らいつも通りお似合いだな!!早くしろよ!!」
「早くしろよ!!」
自分達よりも一回り大きい少し肥満体型の男がピグレ、その後ろにいるもう一人小さい男の子がピグレの舎弟?と言っている、名前はスモル
ピグレはこの村のガキ大将だ、シャルとはよく喧嘩をする仲だが、仲が悪いわけではなかった。
ピグレに言われ、学校の時計を見ると、もう少しで授業の鐘が鳴るのが分かる
「いっけね!エル!行こう!」
「う、うん!!」
二人は急いで駆け足で教室まで向かう。
廊下の突き当りに自分たちの教室がある、そこまで走ってドアを開けて机に座る
その同時に授業の鐘が鳴った。
「セーフ・・・!」
「アハハ、危なかったね!」
相変わらずエルは楽しそうに笑っていた。
周りのクラスの皆は友達同士で談話するのをやめて席に着く。
そんな、何時もと変わらない日常を始まろうとした時だった。
しばらくして、3分後に自分たちが入ってきた逆のドアから先生が入ってくる。
黒髪でメガネをしている、誰もが分かるナイスバディな人だという事
先生の名前はミレイ、シャル達の担任の先生だ。
そんな先生は手を叩くと生徒の視線が先生に集まる。
「はーい!皆さんちゅうもーく!いきなりだが君達のクラスに新しい仲間ができた!つまり転校生だ!」
先生のいきなりの言葉で周りの生徒が騒めきだす。
どんな子?何処から来たんだろう?そんな声が耳に入ってくる
隣の席のエルはシャルに話しかける。
「どんな子だろうねー!」
「さぁ、悪い人だけじゃなければ何でもいいかな?」
「もう、夢が無いなぁー!」
エルは頬を膨らませる
相変わらずのエルの顔は感情豊かで分かりやすい、シャルは思わず笑ってしまう。
シャルはエルと一緒にいると本当に飽きないと、一日で色んな感情を見せてくれる彼女は魅力的な女の子だった。
そう二人で話していると、ガララッとドアが開ける音が聞こえる。
出てきたのは、女の子だった。
燃えるような赤い髪、宝石のような綺麗な黄色い目をした女の子だった。
エルと正反対の黒い服をが目立つ。
「さぁ、自己紹介お願いね」
「はい」
声はとても落ち着いていた。
その冷静な声は明らかに慣れたものだった。
シャルは何故か彼女を見ると懐かしい気持ちになり、同時に虚しいなった。
そうこの気持ちは昨日の覚えていない夢を同じ感覚だった。
「我の名前はスピカ=レイジェルトよ、今日からお世話になるわ、よろしく」
自己紹介が終わると生徒の皆が拍手をする
独特な一人称で自己紹介する、彼女は先生と何やら話しているそうだ。
「じゃあ、シャルくんの隣が空いているから、そこに座ってねぇー」
「分かりました」
そう言って、エルとは正反対の隣にスピカと座る。
スピカが通る際、シャルと目が合う
そして、シャルに向けてだろうか何かつぶやいた。
「久しぶりだな、境遇者」
「へ・・・?」
シャルは何か言われたような気がして、隣に座ったスピカを見る。
だが、既に窓の方を向いて顔が見えなかったが
口元が微かに笑っていたような気がした。
シャルは思う、これから先、何かが起こるのではないかと、そんな思いが胸の奥からざわざわする感触が収まらなかった。
そして、シャルの勘は近いうちに起こる事に知るよしもなかった。
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