元殺人鬼は自由を求め、転生して冒険者へ

プロローグ

元殺人鬼は自由を求めて転生して冒険者になる。

これは2000年前の話

勇者が活躍した歴史の話である。

2000年前はある"英雄"が世界を救うというおとぎ話が普通だった。

魔王を倒して世界を救う、そんなありふれた話であった。

勇者が活躍する話自体は10000年前にもあった、歴代の勇者が魔王を倒し封印しては復活して、新しい勇者がまた魔王を討つ

その連鎖は止まる事もなく続いていた。

その話で一番の有名な話は2000年前の勇者の話だった。

これもありふれた話であり、勇者は仲間を集め魔王を討伐する。

ごく普通の話だ。

その勇者は聡明で優しく強く、太陽みたいに皆を照らす存在であった。

歴代の勇者で一番を強さを誇る最強無敵存在。

唯一、話が違うところがあるとしたら、封印せず魔王を倒したことだった。

歴代の勇者は魔王の力が強すぎる為、討伐までには至ず封印する事しか出来なかったけれど、2000年前の勇者はその強さで魔王を討伐したのだ。

そんな勇者の話に憧れる者は多くいた。

子供も大人も、老若男女はその勇者を称え続けた。

勇者の話は未来永劫に語り続けられたのだった。

しかし、そんな太陽の下には影がある事も忘れないでほしい。

影は直ぐに近くあるのに誰もにも気づかれない

それは太陽の光が力が強ければ強いほど影は強くなり、その存在を更に薄める事に

そしてその存在はやがて最後まで歴史に刻まれずに誰にも知れずに消え去っていく。

それは本当の歴史とは違う歴史となって伝わるという事

そんな人間が勇者の仲間にいたのだった。

でも覚えてくれる人は忘れないでほしい

彼もまた勇者と共に世界を救った一人の英雄である事を

そして、歴史から外された存在である事を・・・

さぁ、本来の彼の歴史を見てみようか

そして、錆び付いた時計の秒針、古くなった本の1ページを、その歴史を再び刻もう

一人の白い服を着た青年が木でできた小さな机に座り

机に上に置いてあった、カビが生えた本を捲る

男は白い羽ペンを持って、そのカビが生えた紙に黒いインクで書き始める

周りには白い空間、彼以外は誰一人はいなく、ペンで擦る音が目立つように鳴り響いていた。