純白な僕らのセイフク

寿タヱ

1.瑠璃学園の教育方針と世間に対する意見

 2072年 人間達はアンドロイドを所持し自分達の思うがままに使用していた。

 ある人は仕事の助手として、またある人は家事全般を任せる妻の様な役割を、時にはスパイ活動や暗殺を任せる人間もいたほどだ。

 彼らにとってアンドロイドは無くてはならない存在である事は間違いない。

 通話やメール管理、時計の役割としても使用されるアンドロイド達はみな、ただ一点だけを見つめ無表情を貫いている。


 そしてそんなアンドロイドを育成する学校があった。

「ヒューマノイド育成アカデミー 瑠璃学園」


 家事型、護衛型、戦闘型、などあらゆる種類のアンドロイドを派出していた。

 そしてそこの生徒は15歳まで隔離された施設で訓練を受けると、16歳からは一般の高校生と同じような教育を受けていく事になる。

 もちろん高い学力や体力が求められる訓練と並行して行っていくのだが、16歳からは人間と同じ感情を持てるように

「人間より人間らしく」というキャッチコピーの元、授業の他は普通の高校生と同じ生活を送る事になる。

 しかし、現状は厳しく外の世界を怖がり出てこられない生徒や、出ても意味を持たないなどの意見の生徒が多い事に加えて、人間達自体も記憶処理の行われていないアンドロイドが外に出歩く事に嫌悪感を抱いていた。


 記憶処理...アンドロイドは生まれた時からこの学校を卒業する18歳までは、人間と同じ感情がある。そして、卒業式の際にアンドロイド業務に必要な知識以外は全て消され、記憶も全て失わせる事。




「人間とアンドロイドの違いを教えてくれ。

 俺たちアンドロイドは、記憶を持ってはいけないのか」


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