スズメの話

昔、最寄り駅まで行くのに公園を突っ切っていた時があった。


ある梅雨の朝、ビニール傘をさして出勤していたところ、その公園にずぶ濡れのスズメがいた。


もうすぐ夏だというのに、ずぶ濡れのスズメは飛び立つこともできずにブルブルと小刻みに震えていた。


なんとかしてやりたいが、捕まえる勇気も持ち合わせていなかった私は、スズメに傘をさした。


スズメは逃げる元気もなかったのか、傘の下で大人しくしていた。


帰りには雨も上がっていた。

どうなっているかと公園を見渡したが、私の傘もスズメもいなかった。


私よりも優しくて勇気のある人に拾われたか、傘の下、羽が乾いて飛び立てたか。

どちらにしてもいい結果だったらいいなと、この時期になると思い出すのです。

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