最強に驚いた話

 私の実家は、線路沿いの高架下を歩いて行った先にある。


 少しの肌寒さと、それを緩和するように注ぐ太陽の光が暖かく、乾いた空気が気持ちの良かったある朝、私は駅へと歩を進めていた。最寄りは治安が悪いことで少し有名な駅なのだが、少し離れたこの場所は、完全な住宅街。あたりには私一人しかいなかった。


 高架下のスペースを利用した駐車場に車が何台か止まっていた。その中の一台に人がいた。この界隈だ。酔っ払って車の中で寝たのだろう。なるべく視界に入れないよう、でも不自然にならないよう、少し気を使いながら通り過ぎると、私の視界の隅に骸骨が映った。


 「うーわ!びっくりしたーーー!」思わず声がでて、骸骨を凝視した。本当に骸骨だった。まさに心臓が口から飛び出るかと思った。心臓が口から飛び出たら死んじゃうけど、本当に死んじゃうかと思うくらいびっくりした。


 キャップを被った骸骨が、道行く人に対して「ようっ!」って片手を上げていた。


 「なんなの、もうーーー!」と歩きだして数歩で思いついた。そうだ、今日はハロウィンだ。お菓子かいたずらか、の前にとびっきり驚かされてしまった。それに誰もそこにいないし、一人で驚いている私を見てる人もいなかった。そうなると逆に恥ずかしくなるのは何故なのでしょうか。


 なんてセンスのいいいたずらかしらと、写真を撮ろうかと思ったけど、怪しい人になりたくなくて撮りませんでした。誰もいなかったけど、誰が見てるかわからないし。


 だけど今でも、その時写真を撮らなかったことを後悔しています。

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