第2話 はだか

水泳の授業の前、着替える女の子たちの、「はだか」。温泉の更衣室にいる、女の子たちの、「はだか」。私はそれらを見るたび、いちいちドキドキした。そして、もっと見たいと思ってしまうのが常だった。


「私って、やっぱり『変』なんだ」


自分のパソコンで、こっそり検索をかけたら、私みたいな人はごくわずかだった。


中高女子校に通っていたから、私は「変」になってしまったのだろうか。


頭がごちゃごちゃなまま、私は大学生にならなくてはいけなかった。


入学してから、


「彼氏、いるの?」


という質問は、頻繁にされた。いない、と答えると、「作ったらいいのに~」、「もったいない」、「つまらなくないの?」、「俺とかどう?」……面白いことに、みんな揃って、恋愛を勧める返答が帰ってくる。窒息しそうだった。


私は、みんなと同じじゃないのに。


私は、毎日、愛想笑いを浮かべて、「普通」の振りをして。授業で、LGBTが取り上げられるたびに緊張して。


私の心は、もう限界だと、正真正銘のSOSを発していた。


いなくなりたい。


でも、それはだめだ。


私は、必死に手元にあったスマホを手に取る。何か気を紛らわせるアプリ。それがあれば……と、すがるような思いでアプリストアを開いた。




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