唯一あった恋心
風見☆渚
量産型の恋はいらない
2月がそろそろ終わる季節、私はもうすぐこの中学校を卒業して新しく高校生になる。
いわゆるJKってやつになる予定。
通い慣れた教室の窓から見える桜の木が少し膨らみかけて、そろそろ咲きそうだななんて眺めているけど、別に感傷的になってる訳じゃないの。あと、卒業式が近いからとかそんなことも、私にとってはどうでも良いというか、あんまり気にしてないかな。それに、新しい高校に行くのは私だけじゃないし、一番の仲良しで親友としてずっと友達の子とまた同じ学校に通えるから、どっちかって言うとうれしい気持ちの方が大きい。
ただ、ただ一つだけ気になっているコトと言えば、その親友に彼氏ができたって聞いたコトくらい。卒業間際だからって、告ってきた男子が実はずっと片思いの相手だったってだけの話。この時期になれば、皆思い出作りのためとか言ってあちこちで告白事件が勃発中。付き合う子も多いけど、思ってもいなかった相手から急に告られたけど断ったとか言いながら自慢気に話してる子もいるくらい。
ちなみに、先週私にも告白してきた男子がいたけど、タイプじゃなかったし私にはもう好きな人がいるからもちろん断った。だって、量産型の恋や愛って一瞬で終わっちゃいそうじゃない?
私は、ずっとずっとずーっと昔から一途に想っている人がいて、でも告白なんて出来なくて、それでも一緒にいたくて、ただそれだけのために部活頑張ったりとか好きな人と帰るための苦労は惜しまなかった。それなにの、卒業するからってこのタイミングで告白されてもうれしくない。てかキモいだけ。
私の親友に告ってきたのが、偶然ずっと想い続けてきた相手からの告白だったし、すっごいうれしかったって言ってた。私もその彼のコトは前から知ってたし、大事な親友のやっと叶った恋だからもちろん応援してる。でも、もしその親友が付き合ったら、私と一緒に遊ぶ時間とか少なくなるのかな・・・
そんなこんなで私は感傷的に、窓から見える桜の木を観賞しているところ。
は~ぁ、私ってどんな女子高生になるんだろう。普通に恋愛とかしたり、高校行っても同じ部活を続けるかな。あの人も高校に入ってまた同じ部活を続けるなら、もちろん私も続ける予定。だって、部活の頑張りって案外そんなもんじゃない?そうでもないか。
あと1週間もすれば中学生活も終わりか~・・・春休みどうしようかな・・・
親友と一緒に過ごすつもりだったけど、きっと彼氏と一緒にどっか出かけたりとかするのかな。私も量産型の適当な彼氏作った方が楽しかったのかな・・・
私の片思いはいつまで続くんだろう。あの桜の花が散る頃には、私の気持ちも散ってどっか行っちゃわないかな。あ~切ない・・・
なんかスマホがバイブってる。あ、メッセだ。
“今度の日曜彼氏と一緒に出かけるけど、一緒に行けない?彼の友達も一緒だから、私だけだと寂しいの。一緒に来て欲しいけどダメかな?”
何このメッセ。めっちゃ可愛いんですけど!どうしよう・・・誘われてちょっとうれしい。親友はずっと私の一番の友達。今までも、これからもきっと友達・・・のまま。この気持ちが恋だってわかってからずっと片思いし続けてきた。今更別の人とか別の子とか考えられない。昔からずっと友達で、でもずっと好きで・・・
だって、あの子のこと好きすぎて辛いけど、彼氏が出来たあの子が幸せに笑ってくれるなら私は幸せだから。もうあの子の一番は彼氏になっちゃったかな?私はやっぱりただの友達だよね。でも、友達でいいから。ずっと友達のままでいいから。
だから友達でかまわないから、私を2番目に好きって言って欲しい。友達中の一番で満足だから、彼氏の次に私のこと好きって想ってくれたら、私はそれで十分。
だから、世界で2番目に好きでいてほしい私の親友は、ずっと私の一番好きな人。
唯一あった恋心 風見☆渚 @kazami_nagisa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます