「或る案内人の場合」

「はい、はーい。順番守って頂けますかー?急いだって閻魔様は取り成しちゃくれませんよぉ?え?あーはいはい。そうです此処、“あの世”です。おかえりなさいっ!」


営業スマイルで出迎える相手は皆、脚が無い。

たった今説明した通り、此処は一般的に“あの世”と呼ばれている場所だ。


人により“黄泉路”とか“三途の川”とか。


「…う…」

「おや、あなた脚がありますね。迷子ですか?」

「まいごって、なに…」

「え?」

「ここ、どこ…」

「嫌ですねえ、だからぁ、」

「うわぁああああん!!」

「!!」

「おかあさぁあああぁん!!!」


あちゃぁ…泣いちゃったー。

偶に。偶~~~に、居るんですよねぇ。


こういう、【お困り物件】。

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