2番目に好かれた男
紫斬武
2番目に好かれた男
今まで生きていた中で、此処まで2番目と言う言葉や文字に縁がある男は居るだろうか。
「……いや、ない」
真剣な表情で、俺は一点を見詰め呟いた。周りの誰が居ようとも、この呟きを聞かれても意味は解らないだろう。目の前には用紙に書かれた俺の名前とクラス番号に席の番号。
2年2組、2番目の席、そして俺の名前は
二階堂家の次男、なので2番目に生まれた事になる。2時22分におぎゃーと生まれ、親と一緒に入院した室内番号は202号室の二階、そしてベッドの位置は2番目だった。
赤ちゃんから幼稚園まで寝ていた布団の位置は2番目で、何かを選ばされる時も2番目、クリスマスプレゼントを貰うのも2番目、風呂に入るのも2番目、食事を家族でする時に座る順番も2番目、食べ終わるのも2番目、前に食べ終わるくらいどうにか出来るだろうと調節してみたが、前から2番目か、後ろから2番目かで結局2番目には変わり無かった、げせぬ。
幼稚園のバスに座っていた席は2番目、教室内の椅子も二列目の2番目、仲の良かった幼稚園の友達は2番目に煩いや、2番目に可愛いやら、2番目に格好良いなど。ああ、お遊戯会も2番目に登場、2番目の演目。
小学校の登校班、俺は2番目に歩いて着いていく。どんなに歳を重ねようとも2番目の位置はズレる事もなく毎朝2番目に歩いて学校に向かっていた。此処でも、席は2番目、仲の良い友達は全て2番目揃い。そして、全て2組と2に異様に縁があった。
中学校の林間学校のバス内に座るのも2番目、泊まった部屋も2番目の位置にある場所、何もかも2番目。
幼稚園や小学校の頃は、2番目という言葉にそれほど気付く事もなく、また2番目の席だなくらいにしか思っていなかったのだが………、げせぬ。
幼稚園も、小学校も、中学校も、全て2番目の席だった。列は違えど、2番目の括りは変わらず俺はずっと2番目の席。
流石に可笑しい、と気付くのは2番目ばかりになっている俺自身しかいないだろう。周りはそれほど俺に関心がある訳もなく、俺が生きてきた中でずっと2番目だと言うのは気付かない。
高校になり、俺は相変わらず2番目の席だ。
2番目だ、と気付いて何か支障があったのか考えてみたが、特にないな、とようやく高校生になり落ち着いた。2番目、2番目、2番目と続き2番目に愛されし俺だが気味が悪いなんて他人が気付かなきゃ思われる事はない、俺もここまで来ると2番目が愛しい、2番目に恋してる、2番目しか無理だとちょっと変な方向にいってはいるが、周りの何とも思われてないなら別段構わない。
2年生になり、自分の席はどの列の2番目だろうと考えつつ見付けた俺の名前と2番目の席に相変わらず2番目に愛されているなと思い座る。
隣の席を見ると、既に座っている髪の短い女の子。視線が会えば彼女は笑って自己紹介。
「二ノ
2番目に愛されし男は、彼女は運命の相手だと勝手に解釈した。
2番目に好かれた男 紫斬武 @kanazashi
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