　今回は長編を4本ご紹介ー。

　ー長編（完結済/順不同）ー

【Audience(L)さん作/【ツバキハラ３】デビルズ・コンチェルト～契約者と悪魔のための協奏曲～（現代ファンタジー/悪魔）】

　ピアノ国際コンクールを舞台に、複数の悪魔と敵味方――それぞれの過去と現在が入り乱れる中、脅迫事件の真実に迫る……！

　キャラに愛着がわいてくるとその過去も知りたくなるのが人情ですが、そのあたり非常にうまく事件にからめて明かされてゆきます。この絶妙なさじ加減がね。ほんとうに心憎い。

　シリーズ第3巻ですが、途中から入られる方のための丁寧な作品解説書も用意されていますので、こちらから読みはじめても大丈夫。ぜひこの、一旦とらわれたら簡単には逃れられない魔力を持つツバキハラの世界を体験してみてください。

〈全82話〉

　ここからの3作はリアルタイムで連載を追いかけておりました。いずれもコンテスト応募作です。

【マスケッターさん作/神様と精霊の間（略称）（異世界ファンタジー/日本神話）】

　ドラゴンノベルズ応募作。古代日本。一人の姫が精霊とのあいだに授かった子どもを産み落とした。しかしそれは禁じられた出産で。はたして子どもの運命は――。

　古代神話時代の人間関係。転生した現代の立場。精霊界の思惑。複雑に絡み合う物語をわかりやすく読ませる手腕はお見事というほかありません。古事記などに登場する話もするする頭に入ってきます。後半は特に怒濤の展開でラストまでぐいぐい読まされました。

〈全53話〉

【竹神チエさん作/魔女がいた夏（現代ファンタジー/魔女）】

　ドラゴンノベルズ応募作。十六歳の夏休み。主人公の部屋に突然現れた女の子は魔女だという。魔法のある世界からとある試験のために来たらしい。期間は二週間。彼女が元の世界に帰るとき、主人公からは魔女にかんするすべての記憶が消されるというが……。

　魔女でした。魔女らしくなくても。ちゃんと魔女だったんです。そんな後半、驚きの真相が待っています。

〈全52話〉

【無月弟さん作/朝霧小学校不思議クラブ（現代ファンタジー/妖怪）】

　つばさ文庫応募作。不思議な存在が見えるせいで周囲になじめずにいた光太の毎日が、おなじく『見える』転校生のマヨちゃんと出会ったことで変わってゆく――。

　光太をいじめていた『見えない人代表』の十勝君と、ちょっとドジでかわいいネコマタのチョコも加わって、三人と一匹の友情と恋（？）と成長が連作短編形式でいきいきと描かれています。

　大切なものを大切なまま心に届けてくれる。もしも子どものころに出会っていたらきっと宝物になっていた物語。そして大人になった今は、どこかに置き忘れてしまったものを思い出させてくれるような、心が洗われる物語。

　老いも若きもちびっ子も、みんな読めばいいよ。ほんとに。コンテスト用にいったん完結にされていますが、まだまだ未公開のエピソードがあるそうなので、今のうちにぜひ！　ね！

〈全32話〉

　このごろ長編の読書量が増えて、そのぶん（？）なかなか短編を読みまわりにいけなくなっております。時間が……！　時間が欲しい……！！

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