第58話:熊本と南阿蘇の大きな被害

 また、土砂災害による死者10人は、いずれも南阿蘇村で被災している。南阿蘇村

では、いたるところで、土砂崩れが起こり、道が寸断されて、惨憺たる有様だった。

その他、地震による直接死ではなく、避難生活によるストレスや持病の悪化などで

亡くなる震災関連死も相次いだ。2018年4月13日現在、この熊本地震による

震災関連死と自治体に認定された人は212人に上った。内訳は、静脈血栓塞栓症・

エコノミークラス症候群などにより車中泊後に死亡した人が少なくとも33人、

病院や高齢者施設が被災して転院・移動中に死亡した人が少なくとも27人、などと

なっている。熊本県だけでなく、大分県でも3人が震災関連死に認定されている。


 また、衛生管理が悪い避難所もあり、地震による損傷で、ガスや水道が使え

ない一部の病院もあった。地獄温泉の清風荘で51名、垂玉温泉で17名が

道路寸断の影響で孤立しており、宿泊客は建物外に避難し炊き出しを受けた。

 地震後に車中泊で避難生活を送る被災者も多かった。被災者が挙げた理由は、

避難所では他人に気を使うこと、車だとすぐに逃げられること、余震で避難施設

が損壊する恐れがあること等。益城町のグランメッセ熊本の駐車場では18日現在

、数千人が車中泊している。だが、避難所の外で車中泊していた50~60代

の女性3人が静脈血栓塞栓症・エコノミークラス症候群で意識不明の重体となり

救急搬送され、他6人が同症候群と診断された。18日、車中泊をしていた50代

の女性1人がエコノミークラス症候群で死亡し、5月15日までに同症候群に罹った

とみられるのは51人となった。その他にも、4月26日までに被災住家の

屋根修理の際に転落し17人が重軽傷を負っており注意を呼びかけた。避難生活は

、16日未明の地震後、避難者は最多で18万3882人に上り、19日12時現在

、熊本県の避難者は計約11万6900人、大分県の避難者は812人となった。


 5月8日までに熊本市は公民館や公共センター施設など、空調や生活施設などが

整備された拠点避難所を市内に延べ21か所開設し、延べ3600人を収容する

予定であった。避難所の環境改善と市立学校の授業再開に目処をつけるため、

同日までに学校施設にある避難所を含め58か所を閉鎖し集約している。テント村

も撤去され、避難所へ住民が入った。避難所では、布を使いプライバシーを守ろう

とした。最初の地震から7ケ月後の11月18日、最後まで残っていた西原村の

避難所が閉鎖され、熊本地震による避難者はゼロとなった。更に、天下の名城、

熊本城の天守閣が無残にも崩れて、城壁も、大きく崩壊して、目を覆うばかり

の惨状だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る